■ひろたりあん通信バックナンバー
▼2004年 1月号
地名推理ファイル歴史探偵 高丸の地名推理ファイル」
ファイル9新春特別編(前編)
  正月といえば新春ワイド時代劇。なんといっても今年は司馬遼太郎の「竜馬がゆく」である。動かなくてもいいよう、ミカンとポテトチップスに烏龍茶を周りに配置して、「さー見るぞ!」と座椅子に腰を下ろした瞬間、電話が鳴った。(うっ、誰だよ〜)とりあえず烏龍茶を一口飲んで、受話器をとる。
「もしもし」
「やぁ、おめでとう!」
 なんと、その声は名古屋に住んでいた頃お世話になった、坪井先輩ではないか。
「いやーやっとかめだねぇ〜」
 やっとかめは名古屋弁で「ひさしぶり」の意味で「八十日目」と書く。つまり八十日も会わないと、久しぶりということである。

坪井先輩
私 「先輩、しばらくぶり。だけど、ヤットカメなんて、今どきお年寄りだって使わない
   でしょう」
先輩「何言っとるの!いま名古屋じゃ名古屋弁が流行っとるんだて!」
私  (本当かよ?・・・)
先輩「それはそうと、ホームページ見たったがね。たまたま昔の知り合いの名前を
    ネットで検索したら、ヒットしてね。ひろたりらんだか、たりらりらんだかの地名推
    理なんちゃら、ゆーの。いやー、なかなか面白いこと、やっとりゃあすがね」
私  「それはどうも。先輩、その名古屋弁やめません?・・・なんか品が無いですよ」
先輩「おみゃ〜は名古屋に住んどったくせに、名古屋弁をたわけにするのか〜。
    言っとくが、信長も秀吉も名古屋弁だでね。もしかしたら、名古屋弁が標準語
    になっとったかもしれんがね」
私  「でましたね。名古屋が生んだ三英傑の自慢話」
先輩「ほーだてー、信長、秀吉、そしてもう一人・・・」
私  「家康でしょ」
先輩「何を言っとりゃ〜す。家康は三河、岡崎だがね」
私  「あっそうか。でも、前田利家は英傑じゃないし・・・」
先輩「がははは、歴史を研究しとるくせに何も知らんね。もう一人は頼朝だがね」
私  「頼朝って、あの源頼朝?」
先輩「そう。頼朝は名古屋の熱田区で生まれたんだがね。そんなことも知らんよう
       じ ゃ歴史探偵は返上せにゃならんね〜」
私  「・・・・・」

高島嘉右衛門
先輩「まっ、ええて。それより今日電話したのは、わしがおみゃあさんの地名推理を手
       伝ったろうと思ってね」
「いや、別にいいですよ。それに地名と言っても、この地元の地名だから。先輩だっ
  て青葉区どころか、横浜にも来たことないでしょ」
先輩「なに〜。去年、中華街に行ったがね。ランドマークだって知っとるよ」
「はいはい。じゃあ例えば?」
先輩「例えば・・・。おーそうだ。正月にちなんで、いいことを教えてやろう。横浜に高島
   町があるでしょう。あの町の名前は高島易断の祖、高島嘉右衛門(かえもん)の
   名前から付いたって知らんかったでしょ」
「ヘェ〜ヘェ〜へぇ〜って、知ってますよ、それくらい。 高島嘉右衛門は横浜港の
   埋立て、ガス灯や下水道の整備事業など、今の横浜の発展に大きく貢献した
   人物ですよ。四十代の時に一線を退いて、今の高島台に住み、易占の研究に専
   念したんですよ。私たちが正月に手にする高島易断は、それが元になっているん
   です」
先輩「さ、さすがだ。じゃあ、彼が伊藤博文とも親交があったことは・・・」
「だから、知ってますって。幕末に生まれた明治の大実業家ですから。今もテレビで
   幕末の・・・先輩、もういいですか?(竜馬がゆく)見たいから」
先輩「ち、ちょっと待ってぇなぁ〜もっと面白いネタがあるんやから〜」
「何ですか?」

船頭、山に登る
先輩「君がやっている地元の地名に関係するネタやねん。例の石川村の・・・」
「本当ですか〜?」
先輩「ホンマや。君はまだ船頭について書いてないやろ」
「あ〜あれは、一月号でやるつもりだったんです」
先輩「タイムリーやな〜。実はな、名古屋にも船頭と言う地名があるんや。わしが住ん
   どる港区の、庄内川の脇の船頭場がそれや」
「ほぉ〜、それで」
先輩「そこにはな。昔、船頭さんが大勢住んどったんやがな〜。せやから船頭場。
   そっちもたぶん、そうなんちゃうかな思てな」
「か〜っ!そんなの分かってますよ!まったく、何かと思えば。港区で庄内川の近く
   なんだから、当たり前でしょ」
先輩「そっちかて、早淵川があるやんか」
「郷土史の方に伺ったけど、早淵川は船の交通ができるほどの大きな川じゃなかっ
   たんですよ。それに、船頭については地元の人から沢山の説をお聞きしていて、
   どれが本当か分からない状態なんです」
先輩「ふん。(船頭多くして、船、山を登る)っちゅうやっちゃな」
「シャレですか?ん、待てよ。山を登る、か。なるほど。それより、いつのまにか、
   大阪弁になってるじゃないですか」
先輩「あっ、ホンマや」
                                          つづく(宮 澤)

■前に戻る■