■ひろたりあん通信バックナンバー
▼2004年4月号  
夢の吹く丘 〜都筑の丘のすばらしき人々〜
■羽場 裕一さん
俳優
  三年前の秋、美しが丘にある平川神社の境内では、祭りの宵宮が賑やかに行われていました。そんな中、一升瓶を片手に地元の氏子さん達一人一人に、酒を注いで回っている水色のはっぴの男性。どこかで見た人だな?と思っていると、私たちの席にもやってきて

「羽場 です。明日、神輿担がせていただきます。よろしくお願いします!」

と爽やかな笑顔で一言。それが、羽場さんとの最初の出会いでした。

人との絆を大切にしたい
 テレビ、映画、お芝居と幅広く活躍されている羽場さんですが、主婦の皆さんにはお昼のドラマ『ぽっかぽか』「チチ」役で、お馴染みなのではないでしょうか。そのドラマのような暖かい家庭を、この青葉区に持って一〇年あまり。祭りにも仕事の都合がつけば、毎年参加してい るそうです。 

 「雰囲気は好きですね。僕は長野県の伊那っていうところの出身なんですけど、本当に田舎町で隣近所の御付き合いがある所だったんですよ。都会はそういう付き合いって、ないじゃないですか。子供が出来て、自分の家に住むようになってから、地域を大事にしなきゃいけないなと ・・・そんな時、祭りがあるって聞いて、これだ!って思ったんです」

 祭りを通じて、地元の人達とのつながりを、持てることが嬉しいと羽場さん。

「散歩をしていてこんにちは≠ニか暖かくなったね〜≠ニか、そんな空気が好きなんですよ。農家のおじさん達がこれ持ってけー≠ニか言ってキュウリくれたり、野菜届けて貰ったり。いいですね〜。別にモノくれるからって訳じゃないんですけど(笑)」

 私も「地名推理ファイル」の取材を通じて、地元の皆さんにはお世話になっているので、非常によく分かります。

大嘘の世界の魅力 
 伝説の劇団『夢の遊眠社』出身の羽場さん。演劇に魅せられたのは小学校の時だそうです。

 「町にやってきた児童劇団を見て、スゴイと思ったんですよ。緑の幕を張って、ここが森だよって言ったら森になっちゃう。その大嘘の世界。それを信じ込ませちゃう世界って、本当に凄いと思ったんです」

 今年の一月に「青葉小中高生ミュージカル」(通信12月号)の取材をして、子供達のひたむきな演技に感動したことが甦りました。なんと、その時に協力していただいた脚本・監修の「かめおかゆみこさん」は、羽場さんの大学時代の先輩なのです。

 「うちの奥さんの高校の時の先輩でもあるんですよ。かめさんの紹介で僕と奥さんは知り合ったんです」

  まさに縁結びのかめ、いや神。(すいません)  人の縁とは面白いものです。

お芝居は一夜の祭り
 
TBSドラマ「誰にも言えない」(主演・賀来千香子)がドラマデビュー。その後、「ぽっかぽか」をはじめ、数多くのテレビ番組に出演されていますが、やはり舞台の魅力は格別だそうです。

 「お芝居って祭りなんですよ。一夜限りの祭りが、公演期間中ずっと続いている。だから終わったら呑むんですよ。そういう意味では昔の男気が残っている、祭り男のようなね」

 先月号の伊吹さんと同じく、現在大河ドラマ「新選組!」に山岡鉄太郎役で出演されていますが、この5月1日には明治座でやはり新選組を扱った舞台、『燃えよ剣 』が開幕されます。羽場さんは主人公・土方歳三(上川隆也さん)と同じ副長(後に総長)でありながら、土方とは性格的、思想的に相容れず、最後には悲劇的な結末を迎える山南敬助の役です。司馬遼太郎の作品 の中でも人気の作品だけに、どのような舞台になるのか今から楽しみです。

今の感じをいつまでも・・・
 
人との出会いや繋がりが、自分の仕事や人生にプラスになってきたと語る羽場さんに、これからの夢をお聞きしました。

 「この町の長老みたいになりたいですね(笑)本当にこの町が気に入っているんですよ。保木の方には自然も残っているし、年取って、この地域のことを何でも知っているような存在。おばあちゃんの知恵みたいな(笑)」

「火のおこし方なんて誰にも負けないですよ。自然との付き合い方、子供達にそういったことを伝えて行きたいですね」

 なるほど、地域や自然を大事にする羽場さんならではの夢です。

 「ドカンと一発当てたいとかじゃなく、後ろ向きかもしれないけど、穏やかに暮らすことが大事なんじゃないかな。 ちゃんと食べ、ちゃんと寝る。その基本的な部分が家だと思うんですよ。だから、住む所にこだわるんです。薪ストーブが欲しくなっちゃうんですよ(笑)。苦労して薪を割って、火をつける、冷たかった部屋がじわじわっと暖かくなってきて、子供が起きてくる、自然なことじゃないですか」

 4月1日が誕生日と言うことで、実は私と同学年だと言うことが判明。しかし、私にはとても真似出来ないその生き方に、最後に出てきた言葉はただ「素晴らしい!」の一言でした。

 この日は、お互いが常連である居酒屋「はるな」さんでの取材ということもあり、心置きなく楽しいお話を聞かせていただくことが出来ました。有難うございました。
                                               (宮澤)

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