■ひろたりあん通信バックナンバー
 ▼2005年7月号
夢の吹く丘 〜都筑の丘のすばらしき人々〜
■シンガーソングライター
  
仲里幸広 改め ユキヒロさん

 平和へのメッセージ
 モーツァルト。ショパン。シューベルト。これら偉大な作曲家と肩を並べるように、その曲は載っていました。 

 『HEIWAの鐘』。戦争の愚かさ、平和への願い。みんなでこの地球(ほし)に奇跡を起こそう。5年前、「九州・沖縄サミット」の会場に流れ、世界中に平和の心を訴えたこのメッセージソングが、今年の高校3年生の教科書に採用されたのです。

 作詞作曲は、二年前の「ひろたりあん通信」(7月号・たまプラーザ夏まつり特集)にも登場していただいた。沖縄出身のシンガーソングライター・仲里幸広さん。彼の歌が高校の教科書に採用されるのは、去年の「今日から明日へ」(高校2年生)に引き続き二度目。二年連続の採用は、これまでにない快挙。初めてのことです。

 「普通のミュージシャンと同じ様に音楽活動を続けていくなかで、ライブやコンサートに来てくれたお客さんが僕の歌を気にいってくれて、それが自然に広がっていったんです」

 手話を交えながら歌う彼の代表作「今日から明日へ」が、ファンの人たちによって、学校の合唱部や会社のサークルなどで歌われるようになり、合唱コンクールで優勝すると、次第にその課題曲が注目を集めるようになりました。

 「音楽の出版社に、譜面はありませんか?どこで手に入りますか?っていう問い合せがいったんですよ。出版社は譜面が無いから、フメンなさい。とは言いませんでしたけど(笑)。すぐに調べて、僕に電話があったんです」

 評判が評判を呼び、全国の小・中・高校の音楽担当の教師が 教材として用いる「教育音楽」という本に「今日から明日へ」が合唱曲の推選曲として掲載されました。

 たちまち、全国の合唱コンクールなどで歌われるようになり、音楽教科書に推選されることになったのです。仲里さんは教科書に載る前から、全国の学校でコンサートを開いています。北海道から、もちろん沖縄まで。すでに40校以上まわっているそうです。

 「オマエにはチャンスを与えたよ。こんな大きなこと二つも与えたんだから、もっとガンバレよ。そう言われているような気がします。だから、一人でも多くの人に僕の歌を聞いてもらいたいし、一人でも多くの人に喜んでもらえるように、全国あちこちに飛んで行きたいですね」

たまプラで生まれた曲
 仲里さんは四年間、青葉区に住んでいました。全国のこども達に歌い愛されているこの二つの曲。じつは、この青葉区で生まれたのです。

 「沖縄から上京して、初めて住んだのがたまプラーザ。新石川4丁目、鷺沼公園の近くに住んでいました。でも、いきなりたまプラじゃなかったんですよ。最初、田園調布で物件を探したんです。家賃五万円3LDKって言ったら、相手にされなくてね(笑)。次に、オシャレな街だからっていうんで、自由が丘に行ったら、そこでも笑われて。二子玉川に行ったら、川を渡ったほうがいいわよって(笑)」

 そして川を渡り、田園都市線沿線の溝の口、鷺沼と急行が停まる駅を順番に探して歩きました。

 「沖縄じゃ『サキヌマ』って大酒呑みのことなんですよ。友達に、どこに住んでるんだ?て聞かれて。『さぎぬま』!おまえは、大酒呑みか〜!って、言われるのがイヤだったんです(笑)。そうしたら、隣の駅が、(たま)にカタカナで(プラーザ)でしょ。なんてオシャレな町なんだ。よし、絶対ここで探すぞって、それで決めたんです。ちょうど駅前の桜が満開の頃で、自宅から見える富士山の見事さにも感動しましたね。よし!自分もここから日本一めざすぞ!ってやる気が出てきたんですよ」

 「たまプラーザ」商店街の夏まつりには、七年前から昨年まで毎年出演されていました。
 「町の人、皆さんから声をかけてもらえるようになりました。酒屋さんも、八百屋さんも、みんな顔を見ると、オーッて声をかけてくれるんですよ」

進歩しないわけがない
 大学時代に結成したユニット「ニーニーズ」。当時、週三本のレギュラーと40本以上のCMに出演するなど、沖縄で絶大な人気を博しました。その後、東京に進出。ニーニーズを解散したあともソロでの実績を残し、社会的な評価も得て、昨年ふたたび故郷沖縄に活動拠点を移しました。

 「沖縄から、もう一度発信して行くという事も、前に進むことじゃないかなと思ったんですよ。後退ではなく、勝負かけるつもりで戻ったんです。だけども。沖縄の人たちは、よく戻ってきたね〜。やっぱり沖縄がいいさ〜。沖縄でのんびりしなさ〜い。疲れて帰ってきたんだってみんな思っているんですよね(笑)。でも、沖縄で一年やってみてよかったですよ。沖縄で戦ってきて、またこちらに戻ってライブするときの気持ちに変化が生まれましたね」 

 このインタビューは、東京でのライブのため、こちらに戻ってきた7月7日に行いました。たまたま、たまプラーザ(!)の商店街に顔を出した仲里さん。一年ぶりの偶然の再会は、まさにタナボタ。いや、七夕の奇跡です。

 「自分がやってきたことが、少しでも進歩していることを確認できるから続けられるんですよ。進歩している自分が確認できれば、また自信を持って前に進むことができる。この先、進歩が確認できなかったら、すぐに辞めますよ」そう、言い切る仲里さん。

 「だけど、辞めないと思います(笑)。というのは、今まで進歩しているんだから、これから先も進歩しないわけがないじゃないですか(笑)」

 子供の頃から人を喜ばせるのが大好きだったという根っからのエンターテイナー。こども達が分かりやすく親しみを込めて呼べるよう、名前を「ユキヒロ」に変えました。でも、豪快な笑い、その爽やかな明るさは変わっていません。風は南から。今日から明日へと新しい風は動き始めていました。

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