■ひろたりあん通信バックナンバー
▼2005年12月号
夢の吹く丘 〜都筑の丘のすばらしき人々〜
■「シアタープロジェクト羽鳥」代表
    脚本家・演出家・演技トレーナー      羽鳥 三実広 さん

 2005年も残すところあとわずか。振り返れば、今年の「夢吹く」は演劇にたずさわる方に多く登場いただきました。 

「青葉小中高生ミュージカル」を皮切りに、高校生の日埜槙子さんが出演された中野の小劇場。間地まどかさんの音楽座ミュージカル。ローマ狂言一座。そして先月号、有馬ゆみこさんの二人芝居・・・「夢吹く」の縁もありますが、前進座や帝国劇場などにも初めて足を運びました。大の映画好きの私が、ズッポリとお芝居の面白さにはまった一年といってもいいでしょう。 

 そんな年回りの最後の「夢吹く」は、その大団円を飾るにふさわしい、素晴らしい方をご紹介いたします。羽鳥三実広(はとり・みちひろ)さんです。(拍手)

俳優を育てる
 『劇団四季』に在籍すること二十七年。「美女と野獣」「ライオンキング」「ハムレット」など、数々の舞台に出演。また研究所主任講師として演技・台詞レッスンを担当、数多くのメインキャストを育てられた羽鳥さん。  二年前の暮れに「劇団四季」を退団。現在、美しが丘に「サンデーミュージカルスクール」と「羽鳥塾」という「俳優育成」を目的としたレッスンスクールを開講されています。

 「サンデーミュージカルスクール」は、プロのミュージカル俳優として舞台に立つために、最低限必要な基本技術とマナーの習得を目指します。ジャズダンスやボーカルなど、羽鳥さんをはじめ、その道のエキスパートの講師の皆さんが指導をされています。

 「みなさん自分でスタジオを持っていらっしゃるんですよ。劇団四季をやめられて、第二の人生を『教えること』だと決めてやっていらっしゃった方たちが、サンデーミュージカルスクールに来てくださったんです。自分たちが培ってきたことを若い世代に託して、その子達が夢に向かって生きる。普通は、辞めたら他のところで現役を続ける方のほうが多いんですよ。ですから、『育てる』という意識は、おそらく他の専門学校とか、教師の方よりも強いと思います」

演技神経
  一方「羽鳥塾」は、本格的に演技を学ぶための場です。お願いして、レッスンを見学させていただきました。最初は邪魔にならないよう、三十分ほどで退散するつもりだったのですが、その指導方法の面白さもさることながら、一分一秒も無駄にしたくないという生徒さんの真剣な思いを感じ、最後まで席を立つことができませんでした。

 「不公平な世界なんですよ。俳優は評価される商売。そのために何をしなくてはいけないか、プロの場合それを考えなくちゃいけない。売り込み方にその人の品性が出ちゃうんです。上手いからといって入れないし、下手でも可愛い子は入れる。それにいちいち傷ついていたらやっていけない。人の時計を見ちゃだめなんです。自分の時計を見なくちゃ。これは『四季』で学んだことです」

 ふと、以前取材したボクシングジムの空気を感じました。 ボクシングのジムでは、世界チャンピオンも入ったばかりの新人も、同じメニューから始まります。縄跳び、シャドー、サンドバッグ。基本をみっちりとやったあと、実戦的なスパーリングを経て、プロのリングに挑戦します。

 羽鳥塾のレッスンにも、これからオーディションをめざす人だけでなく、現役の俳優さんや過去に経験のある方で再び舞台に挑戦される方もいらっしゃいます。そういう方も基本の発声から始めるのです。

 「よく『演技神経』という言葉を使うんですけど、教える時の比喩も全部スポーツです。スポーツだったらどうする?毎日繰り返すだろ?って、一つのことを脇目もふらず。反復してできるかどうかで決まるんですよ。そういう反復練習を厭(いと)わない子は伸びてきますね」

「先生」と呼ばない
 それがレッスンを受けるにあたっての約束ごとです。

 「好きじゃないんですよ。それに、僕自身が教わることが多いんです。先生と呼ばれると階段ができちゃうでしょ。僕は、上から指導する気はありませんから。一緒の板(舞台)に立つときに 先生と生徒という関係も納得できないですしね。先生って呼んだらクビにするぞって言っています(笑)」

 羽鳥さん自身は、ひとり一人を認識するために、全員を名前で呼びます。また、怒鳴って指導することもしません。

 「本人の自主性を出すためには、怒るのではなく、やはり論理でもっていかなきゃいけないんです。ただ論理だけじゃ甘えちゃうんですよ。だから、厳しいながらも軽口を叩いて、押したり引いたりしながらね。僕は(ボケ)と(ツッコミ)だと、ツッコミのタイプですから(笑)」

 ユーモアのある比喩を交えながらのアドバイスは、思わず手を叩きたくなるほど的確。生徒さんの演技も、その都度よくなっていくのが目に見えて分かります。

 「前の自分よりどれだけ成長したか。人との競争で終わってしまっては、いつかほころびがくるんですよ。植物と一緒で自分で自分に水をあげるように、そういう感覚を持っている人は 結局最終的に残っていますよ。これは僕の持論ですけど」

 新しい演劇活動として起ち上げた「シアタープロジェクト羽鳥」も、来年三年目を迎えます。長崎ハウステンボスのオリジナルミュージカルやソロミュージカル「YAKUMO」の脚本、演出、作詞も手がけられました。「俳優育成」だけでなく「創作活動」としての公演も、準備されています。

 「オリジナルなものを作って多くのお客さんに来ていただいて、皆さんに感動してもらえる公演をうてれば・・・。まだまだ道のりは長いんですけど。そのためには、まず役者を育てないと。彼らの夢が叶うことも僕たちの夢ですから」

 ミュージカル『YAKUMO』、感動しました! 「耳なし方一」「雪女」などで知られる小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)の幼少期から亡くなるまでの生涯を描いたミュージカル。しかも、30人以上の登場人物をミュージカル俳優の沢木順さんが、たった一人で演じるというもの。

 ひとり一人の個性を巧みに使い分ける、沢木さんの演技力と声域の広さはもちろんですが、照明や音楽。効果音。舞台美術などによって、劇場という空間がさまざまな時。さまざまな土地。そして様々な人物を現出する。その演出には驚かされました。まさに総合芸術。生で観たい!ぜひ、再演をお願いいたします。 ますますお芝居にのめりこみそうな私です。

 本日はお忙しい中、有難うございました。

                                                 宮澤  


 

サンデーミュージカルスクール

2006年4月9日(日)開講予定

お問い合わせ シアタープロジェクト羽鳥

пD045-903-4570

HP : http://www012.upp.so-net.ne.jp/hatori/

E-mail :  tphatori@abox23.so-net.ne.jp


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