■ひろたりあん通信バックナンバー
2006年7月号
夢の吹く丘 〜都筑の丘のすばらしき人々〜
■歌役者 酒井 聡澄 さん

 恥ずかしながら、オペラの舞台を観たことは一度もありません。映画やテレビで見て知っているつもりでも、「むずかしい」「わかりづらい」といった漠然としたイメージは、少々敷居が高いものでした。

オペラシアターこんにゃく座
「そうですよね。外国から呼んでくると、セットも大掛かりで、キャストも豪華。だから実際お金もかかっているし、結局チケット料金も高い。そんなイメージがオペラにはあるんですね。でも、中身はそれほど難しいものじゃないんですよ。逆に言えば、今までオペラを観たことが無いという方に僕らの舞台を観てほしいんですよ」

 オペラシアターこんにゃく座は1971年(昭和46年)、「新しい日本のオペラの創造と普及」を目的に創立されました。その「こんにゃく座」に入座して十一年。20本以上の作品に出演されている酒井聡澄(さかいとしずみ)さんにお話をお聞きしました。

 「日本で上演されるオペラは、声を聞かせるっていうことが主体になっているんですね。ベルカント(艶のある声色と響きの美しさを聞かせる歌唱法)だと、言葉が聞き取れず何を言っているかわからない。原語上演では字幕の助けを必要とすることが多いんです。また日本語だと、ベチャッとした発音になってしまい、そのままだと日本語に聴こえなくなっちゃう。これまでは、日本語を歌う技術がおざなりだったんですね」

 確かに、オペラが分かりづらいひとつの原因は、あの独特な歌唱法にあるのかもしれません。

「こんにゃく座は、日本語をはっきりと聴いてもらう、というのがモットーなんです。日本語をいかに伝えるか。日本語にすることで、言葉の裏に隠れた思いも届けられますから」

 こんにゃく座は、大掛かりなグランドオペラではなく、小編成のアンサンブルの演奏や、少人数の出演者による作品を創作し、旅公演(学校公演)も含め、年間約250公演の上演活動を続けています。

上演作品には、夏目漱石の「吾輩は猫である」や、尾崎紅葉の「金色夜叉」井原西鶴の「好色一代男」スウィフトの「ガリバー旅行記」、といった異色の原作もありました。

 「この前も、荒川区の小学校で宮沢賢治の『注文の多い料理店』をやったんです。体育館の中で、子供達が地べたに座って、同じ高さに舞台をセットして、子供たちと同じ視点で演じる。そうすることで親近感もわくし、反応を肌で感じることができるんです」

歌役者
 酒井さんは子供の頃から役者や歌を志していたわけではありません。

「オヤジは歯医者で、自分は長男なので、誰に言われることもなく、医者になるんだと思っていましたね。ちょうど僕の時代はバンドブームやベストテンといった歌番組が多かったんですよ。その影響で高校のときはバンドをしていました。でも、ボーカルじゃなくて、ベースやキーボードです。表に出るより裏方が好きだったんですよね。今もそうです。大道具とかメイクとか、実は、そちらのほうが好きだったりするんです(笑)」

音大を卒業とともに入座。すぐに舞台に立ちました。

 「伊丹の旅公演のときに、30分の歌のステージに出させていただきました。その時の小学生たちの顔。声を出して食いついてくることがすごく快感でしたね。子供は集中するところは集中するし、茶々を入れるところはしっかり的をついて入れてくる。いい経験をさせていただきました」

 こんにゃく座では、オペラ役者とは呼ばず「歌役者」といいます。

 「歌って。芝居して。演じて。これが、しっくりくるんですね」

 この8月に上演される『フィガロの結婚』では、主役フィガロをつとめる酒井さんですが、子どもの頃は表に出るよりも裏方になりたかったそうです。

 「子供の頃の夢は、確実に舞台に立つことではなかったですね。・・・あっ!作ることが好きで、『何かを作りたい』ってどこかに書いたことがあるような気がします。うちの座は舞台設置とかも全部自分達で作るんです。それも、僕的には魅力ですね (笑)」

 では、これからの夢は何でしょう?

 「夢というよりは、まだまだ自分を磨いていきたいというほうが大きいので、磨く材料になるなら、なんでもやってみたいと思っています。最近は、ミュージカルや宝塚も観に行くようになりました。様式のなかで歌うということをどういう風に見せているのか、それも興味がありますね」

音楽劇団「紫人会」
 新石川のご自宅では、奥様がバレエ教室やミュージックスクールを主宰されています。実は奥様もフリーの歌役者。一昨年、オペラやミュージカルといったジャンルにとらわれないオリジナル音楽劇を創り上げる団体「紫人会」を立ち上げました。

 今年三月の旗揚げ公演では、酒井さんも裏方として参加されたそうです。

 「裏方がほんとに大好きなんですね(笑)」

  こんにゃく座「フィガロの結婚」は8月24日〜30日。六本木「俳優座劇場」で、音楽劇団「紫人会」の芝居とバレエのコラボレーション「じゃじゃ馬ならし」は、8月9日に世田谷区民会館でそれぞれ上演されます。
 


オペラ『フィガロの結婚』

−モーツァルト・エキゾチカ−

2006年8月24日(木)〜30日(水)  俳優座劇場

http://homepage2.nifty.com/konnyakuza/index1.htm

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芝居とバレエのコラボレーション

芝居 & バレエ 「じゃじゃ馬ならし」
〜傷つき気付き築く愛情〜

2006年8月9(水) 世田谷区民会館

日時 8月9日水曜日 開場 18:00/開演 18:30

会場 世田谷区民会館 

交通:東急世田谷線<松蔭神社前駅>徒歩5分

チケット料金 前売・当日  ●¥3,000(1階席自由)

                     ●¥1,000(バルコニー席自由)

主宰・チケットお取り扱い  オフィスバルーンさかい 

http://homepage2.nifty.com/office-balloon-sakai/sijin.html
 


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