■ひろたりあん通信バックナンバー

2006年11月号
あなたに代わって習い事教室 ひろたりあん手習い騒動記

■第24回「パン作り」騒動の巻
『ベーキングスクール十亀』
「JHBS」という小さな看板を見つけた。

 JHBSってなんだ? Jは当然ジャパンであろう。それじゃあHBSは?「ひろたりあん、バカ、せいぞろい、じゃないよね」一緒にいた河村担当が、編集キャップに絶対に聞かれてはならない暴言を吐く。正解は「ジャパンホームベーキングスクール」全国組織のパン教室だ。もちろん教室に、バカは勢ぞろいしていない。

 自宅でパン教室を開いているのは「JHBS」の準師範の資格を持つ十亀さん。これも何かの縁、早速パン作り体験をさせてもらうことになった。

 にわか生徒は、焼きたてパンが似合う(?)都会派の私、勝野と、パンよりはご飯とみそ汁が絶対に似合う、田園派河村担当である。

 教室に入ると、お二人の方を紹介された。山下さんは、十亀先生の指導を受け、今年先生になられた方、また高橋さんは、先生見習いというか、もうすぐ先生になられる方で、十亀教室に勢ぞろいしてたのは、パン作りの最強メンバーたちであった。

 さて、本日の初級者体験、作るのは私の大好きなマヨネーズパン、そしてハムロールパンの二種類だ。最初に、パン生地をこねる。この行程は機械を使い約十五分。そしてこねあがったパン生地をいったん休ませる(一次発酵)。

  教室では、その間を利用してコーヒーゼリーを作る。「家庭だったら、他の家事とかできるでしょ」確かに四十分もあれば、缶ビール二〜三本くらい飲める。「そんなことしたら眠っちゃうよ」早朝勤務で睡眠不足の河村担当が泣き言を言う。

 一時発酵が終わると、生地を包丁(スケッパー)で切る。小さく分割されたパン生地は一見白い粘土みたいだ。

 「粘土遊びなら昔よくやったので自信があるよ」河村担当が、根拠に乏しい自信の弁を述べる。

 まずはパン生地を丸める作業。スケッパーで切った時の切り口をふさぎ、生地の表面を張らせるのだ。お手本を見ていると簡単そうだが、いざやるとなかなか難しい。小指の下側に力を入れるのがコツだそうだが、あらためて自分の不器用さに気づいた。

 「こまが回るように、パン生地を回すの」と先生。「軸が動き過ぎないようにするのよ」軸を動かさない?野球のバッティング指導みたいだ。しかし野球はあまり自信はない。

 「あっ上手ですね河村さん」「わあ、本当。初めてなのに上手よね」彼は野球が得意だったのだろうか? 「河村さんパン作りに向いてますよ」と誉められている。誉めてもらえない私の額に、たらりと汗が流れてくる。(こ、このままでは…)と思っていると「あっ勝野さんも上手」「あっ本当だ」ついでのように言ってくれる皆さん、その優しさに心を打たれる。「男の人は、躊躇せず思い切りやられるので、いいんですよ」と先生。

 次はパンの成型。まず、パン生地を丸めたダンゴを、下の部分を上にして軽く手で押す。パンはあまり強く抑えると固くなってしまうので、あくまでも軽くだ。

 マヨネーズパンはめん棒で上下に、軽〜く力を入れて生地を伸ばす。伸ばした物を上下に折り、さらに二つ折りにしてとじめを下にし、両はじをつまむ。

 またハムロールパンもめん棒を使い、上下に伸ばし、さらに横に向きを変えて、生地がハムより五o位出るように伸ばす。そして下からくるくると巻き、二つに折る。最後にスケッパーで上側ぎりぎりの所より下側を、真ん中から「サクッ」とハート型に切り開く。

 ここまで「サクッ」と書いてきたが、道のりは決して平坦ではなかった。でもこれで、マヨネーズパン・ハムロールパンともになんとか形になり、やはり努力は惜しむべきではない。

 次は発酵器で、仕上げ発酵を行う。これまでの工程中にパン生地が乾燥してしまうので、三五〜三六℃の中で、水分を補いながら発酵させるのが目的だ。

 仕上げ発酵が終わり、マヨネーズパンは、ドリュー(全卵をほぐしてこしたもの)を刷毛で塗る前に、クープ(カミソリ)でパンの中心に切れ目をつける。ドリューを塗るコツは毛先の近くを持つこと。「手首のスナップを利かせてね」今度は、ピッチングコーチのようなことを言う。

 そしていよいよマヨネーズを、パンの割れ目にひいていく。塗り重ねると流れてしまうので、注意が必要だという。マヨネーズ好きの私も、一筆書きでグッとガマン。

 ハムロールパンにもドリューを塗り、具をのせたらいよいよ焼成である。一七〇〜一八〇℃のオーブンで、一〇〜一二分ほど焼く。

 途中七〜八分で一度、前後を入れ替えることで、焼きムラがなくなる。パンが焼ける香ばしい匂いが、教室中に漂い始め、お腹の虫を無視(ダジャレです)できなくなった頃、ようやく焼きあがる。

 キツネ色に焼きあがったパンをカゴに並べ、パセリをのせたらでき上がりだ。 食卓で、自分たちが作ったパンを試食する。フワフワしてやわらかい。おいしいのは当たり前だ。だって、苦労したんだから(それほどでもないか…)。

 「皆でいろいろなお話をしながらパンを作り、情報交換できる場所にしたいんです」と語る十亀先生。その言葉どおり、焼きたて手作りパンの匂いは、雰囲気を和ませ、会話もはずませるという効能があるのかもしれない。

 お昼時においしいパンを食べ、紅茶を飲みながらの談笑なんて、都会派の私にピッタリ。完璧な田園派だったはずの河村担当だが、パンをほお張るその笑顔を見ていると、少し垢抜けた感じがする。手作りパンには、そんな効能もあるようだ。

                                              (勝 野)
 

「ベーキングスクール十亀」

青葉区もえぎ野

TEL/FAX.975-1725

受講料等、詳細はお電話で


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