| ■ひろたりあん通信バックナンバー |
| ▼2006年12月号 |
| 地名推理ファイル歴史探偵 高丸の地名推理ファイル」 |
■番外編 街道を往く 鎌倉街道 23 ![]() 栄区本郷台、環状3号線に架かる見晴橋に立ち、車の流れを眺める。 横浜には十八の区があるが、栄区とはおよそ縁がなかった。(こんなことでもなければ、まず足を踏み入れることはなかったろうな〜)しばし感慨にふける。
鎌倉郡小菅ヶ谷村
「こすげがや」と読むのかと思ったら、「こすがや」だった。パソコンで変換したらすぐに出た。因みに名古屋弁で「ずるいだろ!」は、「こっすいがや!」だ。(余計なウンチクでした。) この地には鎌倉幕府の執権、北条泰時の娘「小菅(こすが)殿」の居館があったという伝説が残っている。古くは鎌倉郡小菅ヶ谷村といった。もうすでにここは鎌倉なのだ。 小学校を右から回りこむように坂道を下って正門前を通り、突き当たったら右折。そして次の角を左折して、さらに坂道を下る。しばらく住宅街を下るとバス通りに出る。 そのままバス通りを横切り、真っ直ぐ進むと、また小学校にぶつかった。今度は「本郷台小学校」だ。距離にして五〇〇メートルくらいか。さっきの小菅ヶ谷小の住所は本郷台4丁目、この本郷台小は1丁目だ。
その本郷台小で右折して、またまた坂を下る。公園を過ぎると、「子ども飛び出し注意」の看板の所で道が二股に分かれていた。右が広く、左が狭い。一見脇道のように見えるが、左が正解だ。 本来の古道の幅も6尺(約一メートル八〇センチ)、けして広くない。さすがに、こういうところで、もう惑わされなくなっていた。
戦争の跡 行き交う車をやりすごし、駆け足で横断する。と、目の前にタクシーが停まった。中から上品そうな女性が降りた。その光景に、ある歌を思い出した。 「すずかけ通り三丁目」。シンガーソングライターの谷山浩子さんの歌だ。 小学校の教科書にも載った「車のいろは空のいろ」というタクシーの運転手さんが主人公の短編童話。その中の一つに東京大空襲で二人の幼い子供を死なせたお母さんが、こども達と過ごした街を訪れようとする、悲しくて、暖かい、なんとも不思議なお話しがある。「すずかけ通り三丁目」という歌はそのストーリーがもとになっている。タクシーの運転手さんとの会話と大本営発表を読み上げるラジオ放送が挿入されていて、いつまでも心に残る名曲だ。(と、私は思っている) 戦争といえば、この近くに旧海軍の『燃料廠(ねんりょうしょう)の跡』がある。軍艦や航空機燃料の研究や製造をする大規模な施設だ。横須賀の基地に運ぶための交通の便もあるが、鎌倉時代からの食料生産地として広大な水田地帯だったことも立地条件に合っていたのだろう。青葉区にある『こどもの国』の弾薬庫跡と同じで、近くには防空壕や高射砲の陣地も残っている。
家康の坂 鷹狩りにこの地を訪れていた徳川家康が、この坂を馬で駆け抜け、その後を家臣たちが追い駆け(追い上げ)ていったことからその名前が付いたという。 関東に移封が決まった当初の家康は、大船の玉縄城を関東支配の地歩を固める拠点としていたので、鷹狩りはその頃のことかもしれない。年齢は49歳、颯爽と馬で坂を駆け上がる家康に、本多、酒井、榊原、井伊といった家臣団の面々が遅れまじと付き従う姿が目に浮かぶようだ。 坂道を降りきると、「本郷ゴルフ」の看板の所で広い道に合流する。そのまま右に折れて進む。前方に根岸線の高架が見えてきた。
「あっ!合流点の写真を撮るのを忘れた」(一応、曲がり角や合流点の写真を記録として撮っているのだ) 慌てて戻ったら、そこに道標があるのに気がついた。ブロック塀と同化していたので、さっきは気がつかなかった。(いかん、いかん、注意力もどうかしていた) 道標には「是左くめやうし道」と彫られている。 (久米や牛道?…) どうやら「ぐみょうじ道」のことらしい。前回ふれた、中ノ道が日限小学校から分枝して弘明寺に向かう道のことだ。その横に「正徳五年」とあるので、江戸時代には中ノ道の存在は希薄になり、弘明寺に抜ける下ノ道がメインになっていたのだろうか? 根岸線のガードをくぐり、住宅地を進んでいくと、途中赤いお稲荷さんがあり、その前に馬頭観音とお地蔵さんと庚申塔が並んでいた。 歩いていて何だか落ち着かない路地だと思ったら、四辻が少しずつずれている。城下町などでよく見られる、いわゆる「喰い違い」というやつだ。 わざと角と角をずらすことによって、視界を悪くして、城を攻めづらくするための工夫だ。しかし、鎌倉街道の場合はちょっと違う。じつは、馬と馬とが出会いがしらで衝突しないための工夫なのである。 その食い違いの路地を抜け、真っ直ぐな道に出ると、またまた小学校があった。「西本郷小学校」とある。およそ一キロのあいだに三校。しかも、三校とも鎌倉街道沿いにある。意図したわけじゃないだろうけど面白い。(立地条件に何か関係あるのかも…) 青葉区もそうだが、急激に人口が増えると、慌てて学校用地を確保しなくてはいけないのでこうなる。それにしても、これだけ近いと…学区は一体どうなってるのかな?余計なお世話だけど気になる。
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