■ひろたりあん通信バックナンバー

▼2007年4月号
あなたに代わって習い事教室 ひろたりあん手習い騒動記

■第29回「手芸」騒動の巻
 『ふらっともえぎ野手芸教室』

 僕の名前は本川賢一、鴨志田店配属三年になります。会社では中堅どころとなりましたが、見た目は若い(と思う)。

 何事にも首を突っ込みたくなる性格の僕を、口さがない同僚は「好奇心丸出し」と評しますが、これが若さを保つ秘訣だと思っています。しかし、気がつけば「中年」と呼ばれかねない年齢…。

 「いい歳して、コスプレやヒップホップダンスでもないだろう、少しは将来のことも考えな」

 余計なお世話ですが、まだ独身の僕にとって、いつか来る老後をどう過ごすかは、新たな命題になりつつあります。

 そんなある日、仕事で伺ったお宅で、素敵な鶴の置物を見つけました。

「こちらは手作りですか?」

「そうなのよ、趣味でやっているのだけど、手芸教室があるから、一緒に来てみる?」

 独身男性にとって手芸は縁遠いものだけど、僕の好奇心に火がつきました。それに、何事も挑戦が、ひろたりあん記者魂。もちろん手芸を老後の趣味に、と考えたわけではありませんが。

 某日、ふらっと訪れたのは、手芸教室の行われる「ふらっともえぎ野」で、毎月第3土曜日にもえぎ野地域ケアプラザで開催されています。

 会場では、手芸教室やミニバザーの催しの他、けん玉、お手玉などの懐かしいおもちゃで遊ぶこともでき、淹れたてのコーヒーやおにぎり、パンも売っていて、世代を超えた『誰でもひとやすみ』できる広場として賑わっています。

 目的の手芸を教えていただく先生は酒井さん、七八歳にはとても見えない、とても元気で、楽しい先生です。

 まずは手の平サイズのホコリ取り、たこさんモップに挑戦。

 毛糸を短い板にグルグル巻いて、真ん中を止めて毛糸の端を切る、顔になる部分を毛糸で縛って作り、柄の部分になるプラスチックフォークを切断し、通す。あとは目と口をつけて完成! 不器用な僕にも簡単にできました。

 このモップはパソコンのホコリ取りだけでなく、仏壇の掃除に調度良いと、お年寄りの生徒さんにも好評だとのこと。

 続いて習ったのが、ミニタオル犬、タオルで作る手の平サイズのぬいぐるみ。これもとても簡単、タオルを4分の1に切り、折って折って止める、糸を巻いて足と顔を作る、耳と目鼻、口を付けたら、かわいいぬいぐるみの完成。タオルのサイズにより小さいものも作れるので、携帯ストラップもできそうですね。

 どちらも材料費分として百円かかりますが、簡単な材料で、小さいお子様からお年寄りまで、手芸の初歩を学べます。

 次に教えていただいたのが、例の鶴のペン立てです。材料は新聞の折込チラシで、材料費なしで作れる優れものです。ただ、慣れないとかなり時間がかかります。
 厚手のチラシを縦5センチ×横9センチに切ったものをたくさん用意します。数百枚必要になります。

 切ったチラシを横半分に折り、縦半分に折り、斜めに折り…小さい三角になるように折っていきます。最後に、三角の端をハサミで少し切り取ると完成品のバランスが良くなります。

 会社では「三角野郎」とも呼ばれる僕だから(ちなみに民謡八木節にも出てくる「三角野郎」の意味は、四角四面の性格ではないという説が有力だそうです)、三角作りは任せてくれ! と言いたいところですが、根気のない僕はすぐに飽き、ほとんどは先生に作ってもらうという「馬鹿野郎」ぶり(反省してます)。

 さてその三角を土台から積み上げて形にして行きます。のりをつけるとより丈夫になります。積み上げること二時間、無数の三角と格闘しましたが、土台の部分を作るだけで精一杯で、残りは自宅に持ち帰っての宿題となりました。

 一息ついた頃に、酒井先生からお話を聞けました。

 先生は定年後八年もの間、自動車で日本全国を旅して回り、全国の土地でさまざまな人と出会って、ボランティア活動に興味を持ったそうです。68歳の時に社交ダンスを学ぶ機会があり、その後、車イス社交ダンスのインストラクターの資格を取得し、障害者の方と全国大会にも出場したそうです。

 そんな経緯から、本格的にボランティア活動を始め、車イス社交ダンスや手芸教室の他にも、一人暮らしのお年寄りにお弁当を配達する活動も、行っているそうです。

 先生にとってボランティアとは、まず、「馬鹿になる」ことだそうです。文句、屁理屈、噂話、愚痴を言わず、喧嘩をしないで、ただ人の喜ぶことを考えることが大切だといいます。「馬鹿野郎」の僕もボランティアの素質があるかもしれませんね。

 そんな話をしてくださった酒井さんは、とても人生を楽しんでいるようでした。ボランティアといっても自分が苦しい自己犠牲の気持ちだけでは、長く続けることはなかなか難しいと思います。自分が楽しんで、その上、人に何かをしてあげることができて、誰かが喜んでくれる、そんな老後を送れたら…。自分の老後への命題が、ほんの少し解け始めたかな、と感じた今回の習い事でした。   

                                             (本 川)


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