当通信は、近隣の情報を紹介するという趣旨で発行している。そのメインが、この特集欄で、毎回の編集会議(というほど大げさなものではない)でテーマを検討しているが、所詮素人の集団、手応えのある企画案はなかなか出ない。そんな中、釣りが趣味の小柳担当が「大アジ釣りの穴場があるんだけど…」と発言、場所を問うと横須賀だという。「近隣じゃないからダメ」と言う私に、釣りの趣味はない。しかし粘り強さが取柄の彼は、あろうことか大アジの美味さについてとくとくと語り始める。釣りに興味はないが、食には興味津々の食い意地の張った編集者は、近隣を近郊へと拡大し、今回の企画を了承したのである。 編集く
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アウトドアは夏だけではない!
今年の夏に、生物と接する機会が少なくなった現代の子どもたちのために、当通信で近隣の釣堀の特集を組んだのだが、「こんな近場で釣りが楽しめるとは思わなかった」「息子がはじめて生きた魚に触れることができた」「家族サービスを強要されて、せっかくの休みが台無しになったじゃないか(これはウチの編集者)」など、大きな反響があった。そこで今回は、もう一歩踏み込んだアウトドア体験のススメとして、近郊の釣りの穴場情報を、筆者の体験談としてご紹介したい。
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「大味じゃなくて、大アジなのっ!」
皆さんは「大アジ」という魚をご存知だろうか?早い話が、食卓によく並ぶ「マアジ」が大きく育ったものだが、15〜20pの片手で掴めるようなサイズを想像してはいけない。「大アジ」とは40pから大きいものは60pにもなる、両手で抱えるキングサイズのアジなのだ。ちなみに今の若い人の多くはアジの開きしか見たことがないので、アジがヒラメのように平べったい魚だと思っているという、冗談みたいな話もあるらしい。
今回取材した横須賀の走水港沖は、東京湾の中で最も幅が狭く、潮の流れが速いため、普通のマアジが急流にもまれ特大サイズに育つのだそうだ。そもそもこの企画、休日はほとんどを釣りに費やす、当社随一の釣りバカのK担当が、会議の席で大アジの話をはじめたのが発端。「そんなでかいんだから味も大味なんだろう?」と、つまらないことを言うのは釣りに興味がないウチの編集者、「そんなことはありません!」身内のことでもけなされたかのごとくにK君が激しく反論する。彼いわく、冬を迎えるこの時期、体に脂をたっぷり蓄えた大アジの味はどんな高級魚にもひけをとらないほど美味しいそうだ。K君の熱弁はいつしか編集者に「ぜひ食べてみたい!取材してきて」と言わせるに至り、言い出しっぺのK君はともかく、ただ彼の隣に座っていたというだけの理由で、ザリガニしか釣ったことのない筆者までお付き合いするハメとなり、とんだとばっちりである。
「なんで休日まで早起きしなければいけないんだ、Kのバカ!」と早朝5時に出発。車で走ること一時間、今回の決戦の舞台、走水港「広川丸」に到着する。服装は防寒着をきっちり着込めば万全、道具は一式1000円でレンタルしてくれるので、にわか釣り師にはありがたい限りだ。 |
外道で味わう「醍醐味」?
7時半に出船、船長が魚群探知機を睨みながら入念にポイントを探してくれる。K君の能書きを一通り聞かされた後、いざ糸を垂れる。そして待つこと2時間、アタリは全くなし。「教え方が悪いんじゃないの」とK君に八つ当たりしてみるも、それで状況がよくなるはずもない。船酔いと寒さが身に染みてきた頃、竿先がピクリと震えた。「大アジか?」期待に胸を踊らせ糸を引くが、世の中そうはうまくいかない、残念ながら15pの小アジ。それでも見た目は立派なアジ、青光りする美しい姿は魚屋さんの店頭にだって並べられる。これが釣りの醍醐味か、と満足感に浸る間もなく次々にアタリがきて、小アジの入れ喰い状態、気が付くとK君と2人、1時間で40匹の大漁となった。さらにその後は、小サバの群れに遭遇、30匹の成果を追加。
筆者はすっかり満足して午前の部を終えたのだが、釣りバカK君は狙いと違う魚、いわゆる外道しか釣れなかったのが不満らしく、愛しい大アジとのご対面は午後へと持ち越しになった。 |
自然は厳しい、大アジは幻の魚か?
午後になると雲行きが怪しくなり、海は荒れ始め、アタリがばったりと途絶えた。ノリやすい筆者の気分はすでにハマちゃん(西田敏行)になっていて、言葉数の減った三國連太郎役のK君に「釣りは忍耐だよ」なんてうそぶいていたが、実はこの頃船酔いはピークを迎えていた。日が傾く頃にはとうとう雨が降り出し、筆者の気持まで傾き始めたその時、黙々と竿を動かしていたK君が「きた!」と叫んだ。今度こそ幻の大アジか?(それほど珍しいものでもない)K君の竿が激しくしなる、リールを巻く腕がいつになく力強い、格闘すること5分、見事に釣り上げたのは40pのまぎれもない大アジだ。
その後も釣りバカの意地か、彼は次々と合計7本の大アジを釣り上げた。筆者も運良く2本の釣果。ビクビクッと手に残る感触は、初めて体験する快感であった。 |
食してこその供養かな
帰港した我々を、船宿のおかみさんが熱々のけんちん汁で出迎えてくれた。冷え切った体の奥まで染みわたり、おかみさんの笑顔とともにひとときの団欒を楽しんだ。
そして夜はアジづくしの豪華なディナーとなった。刺身、フライ、塩焼き、たっぷりのたたきをのせたアジ丼と、大アジをじっくり堪能し、残ったのは骨だけ。ここまで食べてもらえば大アジも本望だろう、まさに供養である。K君の言葉どおり大アジはやはり大味ではなかった。私のアジの記憶を覆すほどの美味、脂ののり切ったアジはどんな料理でも最高だった。
こんなに美味しいのなら、しばらく釣りにハマってもいいな、と食欲最優先の不謹慎な楽しみ方を覚えてしまった筆者である。 担当 佐々木
●料金
午前船(7時30分〜11時30分) 午後船(13時〜日没)各5000円
午前午後通し8000円 夏季には午前4時よりの早朝船もあります。
●休日
第1・第3金曜日 無料駐車場有
※詳細はお電話でご確認ください(但し午後8時以降のお問合せはご遠慮ください)
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