■ひろたりあん通信バックナンバー
2000年12月号
 「世紀越しそばは自分で打とう 『四季の家』〜そば打ち体験教室」
 寺家ふるさと村は個人的にも好きな場所である。アウトドア志向の強い性格でありながら、不精者に生まれついた私にとって、気軽にアウトドア気分が味わえるふるさと村は、人様にご紹介申しあげるに大いに値する空間だと思っている。ところが前回のふるさと村の陶芸教室に続いて今回もふるさと村でのそば打ち教室を取材したいという。これでは、ふるさと村から「袖の下」でも受け取っているんじゃないか、と誤解を受けかねない。ただ、新世紀を迎えるにあたって食べる今年のそばは、特別なものがあるわけで、それを自らの手で打つというのは、意味のないことではない。そういうわけで、今回のそば打ち体験記が企画として通ったわけである。ただし、ふるさと村から「袖の下」を断じて受け取っていないことを、声を大にして言っておきたい。

■先生が先生
2000年も残すところあとわずか…というところで、年越しそばというか、「世紀越しそば」が待ち遠しい季節がまいりました。そこで今回は、無類のそば好きの僕望月と北古賀のふたりの突撃体験リポートです。

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 先月号の陶芸教室に続いて、今回も寺家ふるさと村での体験です。寺家ふるさと村の総合案内所「四季の家」では、定期的にそば打ち教室が催されています。毎回十二名の定員予約制で、大変な人気のある講座です。当日も早くから行列ができました。「孫に食べさせたいから」という初参加の方、「先生の人柄にほれこんで」という二回目の参加の方もいらっしゃいました。

 ほれ込まれるほどの名人講師の平野元広先生は、本業も中学校の先生で、教え方が上手なのもうなずけます。先生はそば好きが嵩じてそば道場に入門し、その腕前を磨かれたそうで、ついには青葉区の「名人・達人録」に登録されるまでになったという、努力の方。「そば作りは『水まわし』が肝心。多すぎても、少なすぎても、ダマになってもダメ(ダジャレ?)。後戻りができないのは人生も同じ…」など、含蓄のある言葉を交えながらの指導は、さすが現職の教育者、大変わかりやすくためになりました。

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 さて、いよいよそば作りが始まりました。基本の材料の分量(五人前)は、そば粉四百g、小麦粉百g、水二百五十cc(または卵水…水百五十cc+卵一個)、打ち粉適量。この時期はちょうど新そばが出回り始める時期で、今回使用したそば粉も初物でした。そばに含まれる葉緑素が新鮮だそうでいい色が出るそうです。確かに、粉をかき混ぜているといい香りが立ち込めます。隣の北古賀氏を見ると、香りに酔ったのか、陶酔したような表情をしています。
最初の工程が、先生がおっしゃるところの肝心な「水回し」。そば粉に水を三、四回に分けてかけ、指を立てて円を描くようにかき混ぜ、一つの塊にします。その後、ひたすらこねる作業(「くくり」)に移ります。これが楽しくはあるけど結構きつい。常日頃手打ちそばの値段が高いことに不満を持っていた僕でしたが、自分でやってみて納得できました。そば打ちはそのくらい重労働です。

■もむのは苦手な僕たち
 汗だくになってなんとか「くくり」を終え、次の工程は初心者にむずかしい「菊もみ」という作業。会社で上司と部下の間でもまれることは慣れている僕ですが、もむことには不慣れです。隣の北古賀氏は腕相撲が自慢(本当は口ほどではないと皆が言っています)で、人を見ると「一丁もんでやるか!」と誘うのですが、たいてい負けてしまいます。そんな彼が「もむ」のが苦手というのもうなずけます。余談はさておき、先に進みます。「菊もみ」は玉になった生地の中央に押し込んだ右手の親指の方に、生地を左手で寄せ再び親指で押し込むという作業を繰り返します。もみ下手な僕たちは、先生に助けてもらい無事クリア。先生の魔法のような手さばきを見ていただけでした。
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 「ヘソ出し」(生地を円錐形に絞り込む)を終えたら、いよいよ「のし」に入ります。最初に手のひらを使ってつぶしてから(「丸出し」)丸く伸ばしていき(「丸のし」)、ある程度平らになったら麺棒を使った「角のし」「本のし」となります。僕的にはこの作業が、そば打ちの一番の花ではないかと思っています。打ち粉を振りながら麺棒を巧みに動かし、見る見るうちに生地が広がっていく、「いなせ」という言葉がピッタリな、一種の様式美がそこにはあります。聞いた話によると、江戸時代そば屋はお寺の副業だったそうです。そういえば「深大寺そば」なんていうのもありますね。現代でもそば屋に「○○庵」という名前が多いのはその名残です。当時はお坊さんが店頭でそばを打ち、お客の気を引いたそうです。そういわれてみると、そば打ちの所作はある種の修行めいたものがあるようですね。
 もっとも初心者の僕たちにそんな技術があるわけなく、修行を積んだわけでもないので(バイクの荷台に新聞の梱包は毎日積んでいますが)、悪戦苦闘の末になんとか「のす」ことができました。季節によって(湿度の関係)多少変わりますが、仕上がりの厚さは約二oくらいです。

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 いよいよ作業は大詰め、切り方に入ります。打ち粉をたっぷりと振り、大きなそば切り包丁で切っていきます。そば切り包丁はあまり切れすぎない方がいいそうです。よく切れる包丁だとそばの断面がきれいになりすぎて、美味しくなくなってしまうとのことです。

■僕はうどん、北古賀氏はきしめん
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 ところでこのそば切りですが、これがなかなか思うようにいかず、自分のイメージとかけ離れたそばが、次々と切られていきます。「お好みの太さに切ってください」との先生のお言葉でしたが、僕はうどんのようなそばが、北古賀氏はきしめんのようなそばが「お好み」だということが、ここで判明しました。

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 約三時間の悪戦苦闘の末、手塩をかけて育てたわが子のようなそばとのご対面とあいなりました。自分の作品は持ち帰り用で、楽しみはあとでということでしょうか、その代わりに先生の打たれたそばを皆で試食することになりました。苦労のあとだけに、そばのお味は、うーん、最高!言葉にできないほど感動的でした。ただ一つ危惧があるとすれば、名人の打った手打ちそばを先に食べたせいで、後で食べる自分のそばの味に感動できないのではないかということ。まあ、それはそれでそば打ちに対するあらたなる闘志が生まれてこないとも限りません。

 そば好きのそこのあなた、次はあなたの出番ですよ!
                               (担当 望 月)

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そば打ち教室のご案内
開催場所 寺家ふるさと村「四季の家」
(青葉台駅から鴨志田団地行きバス終点下車) 045-962-7414  火曜日休館
開催日時 1月27日・28日 2月24日・25日 各午前9時より
申込開始 1月度・・・1月13日 午前9時から
      2月度・・・2月10日 午前9時から
申込方法 電話または来館にて申込 先着順
募集人数 各日12名ずつ
参加費用 2000円
用意する物 エプロン・三角巾・筆記用具・持ち帰り用容器

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