| ■ひろたりあん通信バックナンバー |
| ▼2008年1月号 |
| 地名推理ファイル歴史探偵 高丸の地名推理ファイル」 |
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■街道を往く 大山街道編 2
篤姫と青葉区 保存版がお手元にある方は、150ページの「地名推理ファイル・特別編」をお読みになってから、こちらをお読み下さい。 そういうわけで、鎌倉街道探索の旅から帰ったのも束の間、今度は大山道を旅することになり…えっ、最初のなぞかけ?はい、江戸時代の旅が信仰と関係があることは分かったけど、その前の「ちりとてちんと掛けまして」の意味が分からない。あ、なるほど。 昨年の大河ドラマを5分ほど前からご覧になっていた方は分かるのですが、じつは、大河ドラマが始まる前に朝の連続テレビ小説「ちりとてちん」の1分ほどの番組宣伝があったのです。そのフレーズがなんだか耳に残っていたので…ちょっといいかな…と、いや、まぎらわしくさせてしまったようで、どうもすみません。 あ、大河ドラマといえば、今年から始まった「篤姫」。ご覧になりましたか?私が大好きな幕末モノ、最初から泣かせるシーンがあったりして、なかなか好いすべり出しだと思ったのですが、いかがだったでしょう? そうそう、青葉区にはこのドラマと関りの深い(と、思われる)「薩摩灯篭」なるものが現存しているんですよ。幕末、江戸の薩摩藩邸に奉公に上がっていた石川村(元石川)の女性が、明治維新で宿下がりをする時に記念に貰い受けたものだという謂れのある灯籠。あざみ野から早淵川沿いの県道(日吉・元石川線)を進み、元石川の「覚永寺」の信号を左折してすぐにある。気になる方はぜひ確かめに行ってみてください。ま、普通の灯籠ですけど。 それから今回、平幹二郎さんが演じていらっしゃいます薩摩藩の家老「調所笑左衛門」。2004年9月号の「夢の吹く丘」で、この調所笑左衛門の末裔の方(薩摩文化研究家の調所一郎さん)をご紹介しています。こちらもHPで確かめてみてください。 今年の大河「篤姫」。ちょっと現代風なセリフ回しが気になりますが、今後の展開を期待しましょう。 ★ ★ ★ ★
野の仏、笑った 青葉区の路地を歩いていると、路傍にポツンと佇む石仏やお地蔵様をよく見かけます。 風雨にさらされ、顔も判別できないほどボロボロに欠けてしまっていても、誰かが花をたむけ、大切に守り続けているのを見ると、心がポッと温かくなります。 そっと手を合わせると、先人たちの敬虔な心と切実な願いが伝わってくるようです。由緒謂れは分からないけれど、出会ったときには、少し立ち止まって、手を合わせてみてください。疲れた心も癒され、きっと優しい気持ちになれますよ。
荏田の庚申塔 探していた庚申供養塔は、城南信用金庫荏田支店の横、歩道橋の脇を抜け、布川にかかる小さな橋を渡り、国道二四六号を右斜めに入ってすぐのフェンスの中にあった。 「あっ、これですよ。腕が六本…青面金剛(しょうめんこんごう)像、間違いないですね」と津屋さん。 だいぶ風化して欠けているが、青面金剛の下の三猿も確認できる。 「本当にフェンスの中ですね。立て札がなければ見過ごしてしまうところですよ」 十年程前、荏田町にお住まいの鈴木美行さんが草木に埋もれて忘れ去られた庚申塚を見つけられた。鈴木さんは「これじゃ仏様が可哀相だ」と、まわりの草を刈り、掃除をし、道行く人に存在を知ってもらうため、塚の背後に刻まれている文字を紙に写して立て札を立てられたそうだ。 鈴木さんにお聞きしたところ、塔は最初246号沿いのガソリンスタンド(現在・自動車屋さん)のところにあったそうで、その後、歩道橋の近くに移されたものが、いつの間にか現在の場所に移されていたそうだ。 「庚申塔というのは、日本全国でみられる一般的な民間信仰ですけど、塔にはいろいろな形がありますね」と津屋さん。
「そうですね。文字だけで『庚申』と書かれたものから、この青面金剛や観音様が彫られたものまで様々ですね」 二人とも全国各地を歩いているので、今まで見てきた庚申塔が頭をよぎる。 「鶏が描かれたものもありますけど、あれは鶏鳴、夜明けを意味しているんですね。干支の57番目、庚申(かのえさる)の次は、辛酉(かのととり)の日ですからね」 「あ、な〜るほど。そういう意味ですか。庚申講は、庚申の日の夜に三尸(さんし)の虫が体から出ないようにするため、村の人達が集まって寝ずに酒盛りなどをして夜を明かす行事ですからね。コケコッコ〜と鳴いたら終わりなんだ」
三尸とは、人間の頭と腹と足に生まれた時から住んでいる三匹の虫で、いつもその人間の悪事を監視している。その三尸が庚申の日に寝ている体から抜け出して、天帝に知らせに行き、その人間の寿命が決められると信じられていたのだ。 「ほぉ、しざる…ですか。それもどこかを手で隠しているんですか?」 「股間を隠しているそうでござる」と、実際にやってみる。 「お、なるほど。庚申の晩には男女同衾はご法度ですからね。これを犯すと、生まれた子どもが泥棒になるとか、ならないとか…」
「えっ、そ、そうなんですか?(ただ下ネタを言っただけなのに…ふ、深い)」 旧道を江田駅に向かって進み、東名高速道の高架をくぐると、「江田記念病院」の真下であざみ野から犬蔵に抜ける道路にぶつかる。その信号の左手の246号の交差点は、青葉区一の渋滞の名所。それが原因か事故件数も突出している。私の友人などは246号に出るのに、決してこの交差点を使わない。→
保存版の4ページに40年前の江田駅周辺の航空写真が載っているが、緑豊な丘陵地帯を、まるで巨大な蛇が這ったあとのように東名高速の造成地帯がうねっている。荏田城址は、まさに一刀両断。それにしても緑が多い。↓
「宮澤さんは地名推理の荏田編で、荏田の地名は『水のある所』『湿地』だと書かれてましたね」信号待ちをしながら津屋さんが尋ねる。
「ええ、もうずいぶん昔ですね。さっきの庚申塔の近くに布川の橋があったように、この246号の周りには、けっこう小さな川が流れているんですよ。江田という地名は、群馬や福島、出雲に徳島県と、全国各地にあるんですが、やはり、いずれも川のそばの湿地帯ですね」 「宮崎県に江田神社というのがあるんですよ。シーガイアのすぐ近くですが…」 「へーっ、そうなんですか。やっぱり水がありますね〜、ありすぎですけど」 「シーガイアですからね。ははは」 「すぐそこに有田焼のお店があるんですけど、最近そこに呼子(よぶこ)のイカを食べさせる『海舟』というお店ができたんですよ」 「有田陶芸倶楽部でしょ。たしか器を楽しむと書いて『きらく』っていうお店があったはずですけど・・・。実は私、毎月1回『葉隠(はがくれ)フォーラム』の集まりというのに出ているんですよ。その集まりで、有田陶芸倶楽部の器楽をよく利用するんですよ」 「え、葉隠って、あの『武士道とは死ぬ事と見付けたり』の葉隠ですか?佐賀鍋島藩の武士道精神ですね」 「単身赴任で佐賀県にいた時に興味を持って、それ以来会合には毎月出ているんです。そうですか〜、呼子の店に替わったんですか・・・。あそこのイカの活き造りは美味しいですからね。宮澤さん呼子 には行かれたことがあるんですか?」 「名護屋城を訪ねた帰りに行きました。活き造りも食べましたよ。ゲソが唇にくっつくんですよね。残りのイカを天ぷらにしてくれて…ジュルッ。いかん、よだれが出てきた。そうだ、あのお店の辺りは昔、田園都市線のトンネルだったんですよ。さっき話したウルトラマンの中にトンネルも出てきますよ」 「ウルトラマン好きですね〜」
「ウルトラマンはロマンですからね」 信号を渡ると、すぐ右手奥に地蔵堂がある。江戸中期に作られた三体のお地蔵様が祀られている。 「郷土史家の横溝潔さんに確認したんですけど、以前はさっき立ち止まった信号の角に、田園都市線の線路の方を向いてあったそうですよ。自分も微かに覚えているんですけど ・・・」
「そうですか。病院を建てる時に移したんですかね〜?いずれにしても、お地蔵さんを見ると、なんだか、ほのぼのと優しい気持ちになりますね」
都筑の中心地
246を渡った正面にマンションがあり、その後を東名高速が通っている。 「あの東名の向こう側に、都筑郡の郡衙(ぐんが)跡があるんですね」 「長者原遺跡ですね。今は猿田公園になっていて、古代の東海道を示す看板が立っています」 「荏田から市ヶ尾にかけて、古墳や遺跡が集中しているのは、東海道が通っていたからなんでしょうね」 「それと谷本川(鶴見川)に沿ったルートですね。今もそうですけど、ここは交通の要衝ですから」 巨大な蛇は、荏田城のみならず古代の中心政庁までも真っ二つに破壊している。(保存版4ページ写真右下、東名の右側に郡庁、館、厨家。左側に正倉)跡が出土した。 「本当なら、246の南側を歩かなくちゃいけないんですよ」 津屋さんが言うように、大山道は246号に巻きつく蛇のようにS字に蛇行して進む。しかし、ここから市ヶ尾駅のところまで、246号を渡る信号はない。むろん、道交法を犯すつもりもない。ということで、歩道を50メートルほど歩いて、ふたたび田園都市線のガードをくぐって北側に出た。ここからは、線路に沿って真っ直ぐゆるやかな上り坂を進む。
つづく
インフォメーション 2009年6月2日、横浜開港から150周年を迎えます。それに先立ち、横浜市では関連する様々なイベントが企画されています。 わが青葉区でも区制15周年と合わせた歴史事業として、現在郷土史家の皆さんや郷土史研究団体の皆さんの手によって、事業計画が着々と進められています。 なんと、不肖私もこれに参加。といっても、星野ジャパンにナゼか参加している中居正広、はたまた、FIFAワールドカップ日本代表に帯同するペナルティーのワッキー。ボブサップに挑戦したボビーオロゴンのようなもの。とにかく、錚々たる郷土史のプロの皆さんに圧倒され、オロオロしながらも、お手伝いさせてもらっています。
その錚々たる郷土史家の皆さんが、新年1月26日〜3月16日まで開催される『横浜歴史博物館』の企画展『江戸時代のよこはま・青葉の村々と矢倉沢往還』の中で、研究発表をされます。これは必聴です。他にも桂歌助師匠による落語「大山詣り」や歴史散歩など、青葉区の歴史を充分に堪能できる企画が満載です。 『横浜歴史博物館』 企画展
電話 045-912-7777 |