| ■ひろたりあん通信バックナンバー |
| ▼2008年2月号 |
| 夢の吹く丘 〜都筑の丘のすばらしき人々〜 |
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■日本体育大学 飛込選手 水島 豊 さん 狩野 友昭 さん 岐阜県郡上八幡、この町の夏の風物詩といえば、「郡上おどり」。そして、もう一つは長良川の支流「吉田川」の橋の上からの飛込みである。 旅の途中で、その様子を目撃したことがある。小学生や中学生、町内の子ども達が競い合うようにして高さ十二メートルの橋の上から次々にダイビングする。度胸だめしであり、子どもが一人前になるための儀式でもある。 中には、なかなか踏ん切りがつかず、何度も欄干を行ったり来たりする子もいる。周りの子どもは無理強いしない。迷うこと数度、ついにその子は度胸を決め飛んだ。わきおこる歓声。仲間からの祝福の言葉。川から上がった照れくさそうな笑顔は、大人の顔であった。 度胸試しが高度なスポーツに昇華したのが水泳の飛込競技である。しかし、四十数年の人生で「飛び込み」の関係者に会ったことは一度もない。 それぞれの転機 水島さんの言葉に「ウソ!」と、絶句する狩野さん。
二人は日本体育大学の同期で、共に飛込競技の選手。去年の4月(シンクロナイズド高飛び込み)で、日本一に輝いた最強ペアです。なるほど、競技人口が少なければ出会う確率も少ない。では二人は何故この競技を選んだのか? 群馬県は榛名山の麓、榛東村出身の狩野さんが飛込を始めたのは高校生の時でした。 「中学の時には器械体操をやってまして、明和県央高校に入った時に、体操部の一つ上の先輩が飛び込みを始めたというのを聞いて、親同士が仲良かったんで誘われて見に行ったんです。そうしたら…いつの間にか入っていましたね。インターハイでは高飛び込みで6位。高校三年間やり続け、大学には 推薦で入りました。」 一方、福岡県出身の水島さんは幼稚園から高校一年生までサッカー少年でした。 「始めた理由は高校に日体大卒の飛込みの先生がいらっしゃって、その先生に声をかけられたからですね。自分は目立ちたがり屋なんで、倒立とかバク転とかしまくっていたら、『ちょっとやってみらんね』って声をかけられたんです。2回断わって、3回目に、やってみようかなと。うちの母が飛び込みが好きで、やらせたがっていたのもあるんですけど、日体大に入れるっていうのが単純にありましたね。日体大に入って学校の先生になるのが夢だったから、飛込みだったら競技人口が少ないから、頑張れば行けるんですよ。努力次第ですけど」 まさに三顧の礼、競泳や体操からの転向と違い、サッカーからは異色です。 嬉し楽し、…痛し。 試合当日に緊張からか、体が硬くなってしまうことがよくあると狩野さん。技を成功させたときが一番の喜びだそうです。
「新しい技は難しいですし、怖いですし、本当は飛びたくない。コーチに無理やり飛ばされて、出来た時なんか嬉しいですね。技をどんどん作って完成させていったときに自分自身が成長していることを実感できるんです」 一口に技といっても、飛び込み競技の技は複雑です。 「大きく分けて六つですね。数字なんですよ。ただ単純に前に回るだけだと、前宙返り何回半、それにひねりが加わると、前宙返り何回半何回ひねり、回り方が前逆といって、プールを見て後回りをするとか、またそれにひねりが加わったり、前後ろそれぞれあるんですよ。全部数字で表されて、それが1から4群まであるんです。5群はひねり系で分類されて、6群は倒立なんですよ。これは立ち飛込しかないんですけど。 全種類の中で、何回転するか何回ひねりを入れるかを選択して、それを申請して、例えば6243Dを飛んで 違うものをすると種目違いで0点になっちゃうんですよ。それはめったにないんですよ。最初は覚えられなかったです自分は、説明も難しいですね」 確かに難しい。1回聞いただけでは覚えられません。 「それが飛込が流行らない利用だと、僕は思います」
最高の瞬間 「楽しいし嬉しいし、たまに痛い(笑)」 「競泳の飛込で腹打ちしたときの十倍くらい痛い。二種類あって、ビンタとパンチって考えてもらえば分かりやすいんですけど、パチンっていう皮膚の痛みと、ボディブローを喰らった痛み」
「しかもレバーからえぐられた、みたいな(笑)もう一つは、男にしか分からないですけど、ある種目を飛ぶための練習で、低い所から足から入るんですよ。オーバーといって、ちょっと回りすぎて入ると…、ゴンって、その瞬間『ああ、女になっちゃう〜』て思うんですよ
(笑)」 「『なめられる』って呼んでるんですけど不意打ちでくるんです。あれが厄介ですね」 「痛いのも流行らない理由かな(笑)」 「自分達より年上の人なんですけど、一年くらい前にビターンって打ったんですよ。痛くて泣いてるんじゃないです。悔しくて泣いているんです。それまで一度も打ったことがなかったんですね。稀にいるんですよ。そういう才能のある人が…。自分達はボコボコ打つの当たり前なんで、笑いながら上がってくるんですけどね(笑)」
飛込競技の普及 水島さんは現在、市ヶ尾の『旭寿司』さんでバイトをしています。
「趣味はギターです。歌も上手いです。歌手にもなれます。でも先生になります(笑)。 小学校四年生から学校の先生が夢でしたね。ヤンキーだったんですよ、小学校の時。ジャイアンの質を濃くしたみたいな(笑)。子分を金魚のフンみたいに引き連れて、悪党だったんですよ。好き放題していたんですけど、そいつらが一気に叛旗を翻して、それで、やっぱりこういう事(いじめ)していたら、いつか返されるんだな〜って、その時に出会った先生がいい先生で…、自分は人に恵まれているんですよ。大学に入れたのも、いい先生に出会えたからだし、こっちでも素晴らしいコーチ、監督がいて、その縁があって、ここで働かせてもらっているし(笑)、大将やおかみさん、そしてお客さん、本当にいい人たちに囲まれて、お世話になっています。福岡に帰っても現役続けます。飛込み大国九州を作りあげて、また日体大に生徒を送り込みたいですね。そして旭寿司で働かせて(笑)」 出身の宗像市にある宗像大社の祭神の宗像三女神は、まさに水の神様です。姓も水島。水との縁、人との縁は神様の加護かもしれません。 「自分は就職が内定しているんですけど、出来たら飛込に関っていきたいですね。少しでも多くの人に知ってもらうために貢献が出来たらと思ってます」と、神妙に話す狩野さん。 話は違うけど、彼の髪の毛、メチャクチャ気持ちいいんです。最初に会ったときに、何度も触っていたら、警戒したのか(笑)、この日は、更に短く刈り込んできました。すかざず「日ハムの中田に似てるでしょ」と水島さん。さすが息の合った最強ペア。 明るくて爽やかな二人の話に、飛込競技に対する認識が変わりました。マゾじゃないので、決して飛ぼうとは思いませんけど(笑)。
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