| ■ひろたりあん通信バックナンバー |
| ▼ 2008年6月号 |
| 夢の吹く丘 〜都筑の丘のすばらしき人々〜 |
■東山田資料館館長 インテリアデザイナー 栗原 満直 さん![]() お話を伺いながら、サミュエル・ウルマンの【青春】という詩を思い出した。 【青春とは人生の或る期間を言うのではなく心の様相を言うのだ】という一文から始まる詩で、数年前に横浜の近代文学館に展示してあったものを書き写して、今も仕事場の壁に貼って日々の励みとしている。
鬼百選と歳時記 「旅行に行くと、あちこちにその土地の資料館や博物館があるんですね。ここに帰ってくると何も無い。なんて寂しい場所なんだろう」 東山田で生まれ育った栗原満直さん、自宅の蔵を利用して資料館を作ることを決意されました。センター北に歴史博物館ができる2年前のことです。ニュータウンの開発によって行き場の無くなった農具や民具、敷地内から発掘された縄文土器や石器などが集められました。 土器や石器は敷地内から発掘されたそうで、資料館の床下を開けると、、竪穴住居の囲炉裏跡がありました。 「試し掘りしてみようと、掘った場所が囲炉裏の真上だったんですよね。ちょっと外れていたら、ここの土器は何も無いですよ。縄文の石棒も欲しくてしょうがなかったんですよ。発掘していたら出てきた。これはもう神様が与えてくれたとしか言いようがないですね」 資料館は、この遺跡の上に建っています。まさに神の啓示。ここにある農具や民具も、この場所に引き寄せられるようにして、自ら集まってきたような気がしてきました。 栗原さんの本職はインテリアデザイナー。都内に設立した事務所で仕事をして、毎週水曜日のみ、この資料館を開かれています。半年前にお邪魔した際は、幼い頃の遊びや四季の風習などを挿絵入りで紹介する歳時記の執筆中でした。 「いろんなものに手を出しているのでまとまらないんですね。みんな中途半端で(笑)思いついたときに、ああ、こうしたらいいかな?あれ描いたらいいかな?とかっていろんなことに手をつけちゃう。一応頭の中にインプットされていますから、そんなことやっているから進まないんですね(笑)」 今年二月、新宿の花園神社で開かれた節分祭の鬼に興味を持ち、鬼の気持ちに思いを馳せた「鬼百選」の執筆を歳時記と同時進行で始められました。しかし、歳時記も鬼百選も、先の言葉とは裏腹に、すでに九割がた完成。二兎追うものは…の諺は栗原さんには当てはまらないようです。 最近完成した「私設ミュージアム・ネットワークめぐり」というマップも見せていただきました。神奈川県内にある私設の美術館、博物館、資料館が建物の外観図と説明文入りで紹介されています。 「私設ミュージアムの問題点は、跡継ぎの問題なんですね。大事な文化遺産が散失して骨董屋さんに渡ってしまうのが一番怖いんです。そうしたものを何とかして守っていかなければいけないですね」
とめど尽きないアイデア 「中学生の頃、すごくこの辺はのどかだったんです。親たちは農作業に行って、学校から帰ってくると一人でしょ。小鳥のさえずりが聞こえ、いろんな香りを感じましたね。そんな時にね、東海道五十三次の風景画を見ながら、スケッチを描いたんですよ。それを見たら、そこに一句書いてあったんですね。本当にいい環境だな〜って、その時に思いついて書いたんでしょうね」 絵を描き、俳句をひねり、興味を持ったものをとことん追求し、形にして残していく。庭の手入れもご自身の手で行います。本業の仕事もあるなか、寝ていないのではないかと思うほど多種多彩な活動をされています。 「よくそんな時間があるな、とか言われるんですけど、どんなに忙しくなっても、その頃のノンビリとした何ともいえないペースっていうのが体の中に残っているんですよ」 止めど尽きない泉の如く、新しいアイデアが湧いてきて困るんですと笑う栗原さん。 「感じることが、感謝となって帰ってくるんです。テレパシーが何をキャッチするか、3年、5年経っても、その時に必要なものをキャッチして、それにたずさわって行くんでしょうね。何も感じなくなったら引退しますよ(笑)」 年齢をお聞きして驚きました。実年齢よりも10歳以上若くみえます。 【美と希望と喜びと勇気のメッセージを受信できるかぎり人は若いのだ】 冒頭の【青春】の詩の一節です。好奇心のアンテナは、常に新しいメッセージを受信されているのでしょう。懐かしい思い出と新しい夢が、一杯詰まった東山田郷土資料館、ぜひ一度足を運んでみてください。 (宮澤)
「東山田郷土資料館」 都筑区東山田町1362-1 TEL:045-592-6493(要予約) 毎週水曜10時〜17時
長屋館のみ有料(500円) |