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中学時代に、父が貰ってきた雑種の仔犬は、全身薄茶色で、ただ四肢の先だけが白かった。
「足袋を履いているみたいだな」という父の無責任な発言で、彼は「タビ」というダサい命名を受けるという悲劇を、幼少時に味わってしまった。
そんな出自のせいか、いつも不貞腐れているような駄犬に育ってしまったが、私にだけに懐いたのには理由がある。
「タビ」という名前は、思春期の美意識からほど遠いもので、私は密かに彼を「Tab
bie」と、英語風に呼んでいたのだ。
かように、心さえかければ、人間とペットの間にも信頼関係は築ける。
特に妻が可愛がっていたシーズーが、天寿を全うしたのは五年ほど前である。大泣きに泣いた後、妻は二度と犬を飼おうとしない。しかし、父に似て動物好きの娘は、ことあるたびに犬を欲しがるが、常に母親の激しい拒否にあい、二匹のハムスターで我慢している。
ある夜、酔っ払って気が大きくなっている私に「お願いがあるの」と思いつめたような顔で娘が言う。「犬を飼いたいの」「そうか、よしよし、わかった」そう答えたような記憶がかすかにある。 翌日、わが家に嵐が吹き荒れたのは言うまでもない。
「なんで私の気持ちをないがしろにいするのよ!」「お父さんの嘘つき!」この一件から、家族の序列は、妻←娘←ハムスターA←ハムスターB←私、となった。いくら心をかけても、家族間の信頼関係を築くのは難しい、なあ、Tabbieよ。
里親探しにも力を入れる「神奈川県動物愛護協会」を勝野担当が取材してきたが、私の里親も募集したい。
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がけっぷち犬
昨年十一月のある日、テレビをつけると、画面に柴犬らしき犬が映っていた。でも何か不自然。高さはゆうに七〇メートルはあるコンクリートの崖の真ん中。どうやら犬は、その崖に迷い込んで戻れなくなったようである。
崖のある場所は四国の徳島市。アナウンサーによると、彼はこの辺りにいるノラ犬で、なんと一週間もの間、この急斜面で暮らして(?)いたらしい。このままでは、四〇メートル下の谷底に落下という最悪の事態に…。
知恵をしぼった結果、小さな網で追い、大きな網に落とし込むという作戦が実行され、間一髪、見事救出に成功したのである。(おおっ、よかった〜)ホッと胸をなでおろしたものの、ふと、この犬の行く末が気になりました。(もしかして、保健所送りか? ということは…)嫌な想像が頭をよぎった。
しかし、ニュースの続報を聞いて安心した。助けられた犬は『徳島県動物愛護管理センター』に引き取られ、ケガの治療をしたあと、人に馴れる訓練を行うそうだ。マスコミに「がけっぷち犬」と名づけられた彼女、その後全国的に有名になったのは周知のとおりである。
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テレビを切ったあと『動物愛護管理センター』のことが気になりました。(一体どんな活動をしている組織なんだろう?)
調べてみると、港北区にも財団法人の『神奈川県動物愛護協会』があるようです。そこで私、「もえぎ野店」の勝野が、今回特集記事の取材として、愛護協会の施設を見学に行くことにしました。
神奈川県動物愛護協会
施設は、横浜上麻生道路の六角橋付近、東急東横線白楽駅近くの、篠原園地という公園の一角にあります。
訪ねた日は、あいにくの雨。遠回りするよりはと、市営地下鉄「岸根公園駅」からタクシーを利用しました(それでもワンメーターで到着)。
タクシーを降りると、目の前に『財団法人 神奈川県動物愛護協会 付属動物病院』の看板。入口は階段の下になります。
インターホンで用件を伝えて中へ。細い通路を通ると、金網越しに犬舎が見えます。築四十八年という建物は、想像以上に老朽化が進んでいるようです。事務所は通路の奥にありました。
事務所の中にも沢山の猫や犬がいました。ちょうど訪問者が2組いらっしゃっていて、スタッフの方々も対応で手が離せない状態。しばらく猫ちゃんとじゃれながら待っていると、「すみません。お待たせしました」の声。所長の増田さんです。
増田さんから簡単な施設の説明の受けたあと、女性スタッフの案内で見学に向かいました。まずは旧猫舎です。
「けんかをする子は一匹で、しない子は相部屋なんです」とスタッフさん。
それぞれの身体の状態や性格などを考えて、暮らす場所を考えているそうです。 最近、ある作家が不妊手術をしないで、生まれた仔猫を生きたまま谷に捨てていたということが社会問題になりました。まったくオゾマシイ話しです。
「こちらの動物たちは伝染病ワクチンと不妊去勢手術は全て終わっています」とのこと。
いまや犬猫たちは、人口よりも多くなっているのです。不幸な動物達を増やさないためにも、不妊去勢手術はどうしても必要なのです。
猫には好かれるんだニャ〜
新猫舎のほうは、木のぬくもりが感じられるきれいな造りになっていました。
当たり前だけれども、猫にもいろいろな性格の子がいます。興味津々で近づいてくる子、身を寄せ合って警戒している子など。なぜか同行している宮澤さんを怖がるが多いようです(ウン、やっぱり動物は正直だ!)。
「お〜い!カメラのフラッシュに怖がってるだけだろ〜が。こうみえても、昔から猫には好かれるんだよ。車に轢かれて死にかけている猫を、素手で抱きかかえて助けたこともあるんだぜ」
「本当ですか!それはすごいな〜」
「ミャー澤と言われるのは伊達じゃにゃ〜よ〜」
(出た!得意のダジャレ&名古屋弁)ま、猫だけには…という部分には納得ですけど。
次に案内されたのは普通の和室。だけど、辺りの壁は傷だらけ、爪を研いだ跡です。その犯人たちは、ホットカーペットや押入れ、冷蔵庫やレンジの上に。猫、猫、猫、スタッフの休憩室が、そのまま猫たちのお屋敷になっていました。
台所に回ると、ワンちゃんがいました。アメリカン・コッカースパニエルです。ものすごく吠えてます。あー、この子も宮澤さんを見て吠えてますねー、怪しい人物がわかるんですねー。賢いですねー、ちゃんと番犬の役目ができる子、なんですねー。(ムツゴロウさん口調で)
「そうじゃない。どうみても勝野君に向かって吠えてるだろ!ほら〜」
「違いますよ。宮澤さんですよ。犬には好かれてないんですよ」
どちらが怪しいかで揉めていると、
「この子は、誰にでも吠えるんですよ」 スタッフさんの一言で決着がつきました。
「ご近所から苦情があったので、ワンちゃんは40匹収容できるところ、現在15匹しかいないんです。防音機能を充実させれば、保護できるワンちゃんも増やせるのですが…」と話すスタッフさん。
周りが住宅街という環境では、騒音問題になるのも仕方ありません。
こちらでは安楽死の処置をとっていません。ですから、一生をここで過ごす犬や猫もたくさんいます。防音機能はもちろんですが、彼らが少しでも良い環境で暮らせるよう、一刻も早く施設の改善が必要なのです。これをお読みの皆さん、ぜひ温かいご支援をお願いします。
さまざまな境遇
最後に施設内にある動物病院を拝見しました。手術室も完備しています。毎年一〇〇〇匹以上のノラ猫に不妊去勢手術を行って、繁殖防止に努めているそうです。カルテもびっしりでした。
ひと通り施設を案内していただいたあと、スタッフさんに付いて施設の清掃を体験しました。まず、猫舎の床に敷いてある古い新聞を捨て、ケージの床をモップでゴシゴシと水拭きします。そのあと真新しい新聞を二枚重ねて床に敷いてあげます。新聞紙っていうのは本当に重宝です。
猫も人間も新しいもの大好き。足元でじゃれついていた「しもちゃん」、新聞を敷こうとするそばから乗っかってきます。「ちょっとごめん」「失礼」などと言いながら、どいた隙にサッと敷きます。「さあ、いいよ。しもちゃん」
続いて「ミミ」ちゃんの部屋の掃除です。昨年の六月に天国に行ってしまった、私の実家の犬の名前もミミちゃんといいました。犬と猫の違いはありますが、なんだけ親しみを感じます。
掃除が済んだら、次はトイレ作り。四角いプラスチックのかごに、新聞を綺麗に重ねて敷き、新聞を縦に裂いたものを入れます。普段大切に扱っている新聞をこうしてビリビリに破るというのは、複雑なな反面、ちょっとした快感です。
猫2匹分だけでも大変なのに、これが犬猫合わせて80匹です。世話をするスタッフさんは毎日大変だろうなぁ、と実感しました。
掃除を終えると、スタッフさんが、神戸出身の「エディくん」を紹介してくれました。
「彼は阪神大震災にあったんですよ。当時は、震災ペットがたくさん保護されていて、マスコミにも取り上げられ、行列もできたんですよ。他の子はもらわれていったんですけど、彼だけ残っちゃったんです。少し気が強くて気分屋ですからね〜」
人間と同じように震災の時のトラウマがあるのかもしれません。
お掃除体験を終了し、ふたたび事務所に戻ると、先ほどから気になっていたワンちゃんと目が合いました。 潤んだ大きな瞳。彼女の名前は「ローリー」(ウエスト・ハイランド・ホワイトテリア・七歳・メス)です。

真っ白な毛並みが美しい、人懐っこく、とても大人しくておりこうさんです。飼い主さんが亡くなられたので、こちらで保護されているとのこと。
室内でのおしっこもしつけられ、不妊手術も終わって、今は事務所で新しい飼い主が見つかるのを、待ちわびながら暮らしています。
協会を出ると、雨はやんでいました。
優しいスタッフの皆さんに大切に保護されて暮らしている動物たち。でも、ケガをしていたり、性格的な問題などで、貰い手が見つからない子や、老朽化した施設のことを考えると、なんだか気持ちは晴れません。
雨のち曇り
1月28日(日)午前10時。本日は、美しが丘西の「ハックドラッグ」に隣接するペット用品店「ルッカ」で、動物愛護協会主催の「里親会が行われました。
里親会は毎月第1日曜日が鎌倉市。第4日曜日は、こちらの「ルッカ」さんのご好意によって開かれています。
いつもは4〜5匹連れてくるそうですが、今日は2匹がやってきていました。
まずは「寒太郎」君。ヒューンヒューン♪ 猫に股旅!生まれて二ヶ月の仔猫でござんす。とっても綺麗な顔をしていまるでやんす。
そしてもう一匹は、あの「ローリー」です。待ってました、ローリー♪
「鎌倉のときは里親さんが見つからなかったんですよ。でも、とっても良い子たちなので、少し時間がかかるかもしれないけど、必ず里親さんは決まると思いますよ」と、この日お見えになっていた愛護協会会長の山田さんの嬉しい一言。期待も膨らみます。
気になってのぞいて行くお客さんはいますが、すでに自分の家で飼っている方が多く、なかなか里親さんになってくれるような方は現れません。待っている間、山田会長からお話をうかがいました。
「動物愛護週間のイベントで、子供たちが犬や猫を抱っこした時に、その温かさに子供たちがビックリしたことがあったんですね。これには私たちのほうもビックリしたんですよ」
その一言に、こちらもビックリ。家で飼っていなくても、学校でウサギやニワトリなんかの飼育をしているはず…と、思っていたら、最近はいろいろな事情で、それさえも行われていないそうです。
「ゲームの世界に慣れてしまっている今の子供たちに、バーチャルではない、本物の生き物の温かさをもっと知って貰いたいなって思いますね」
手のひらで命のぬくもりを感じることで、命の喜びや大切さを知るのです。
「ペットは『癒しグッズ』じゃありません。そう思って飼っている人は『癒してくれなくなった』『飽きた』という理由で簡単に動物を捨ててしまうんですね」
ペットを飼う人のモラルに対する手厳しい意見もありました。そういえば、一時期あんなに人気だったハスキー犬。どこに行ってしまったのでしょう。最近とんとお目にかかりませんねぇ。アライグマやハクビシンなど、外来種を捨てたことで、自然の生態系に影響を及ぼす問題もあとを絶ちません。
「犬・猫の殺処分毎年四〇万頭以上…」
動物を「捨てる」ことは、すなわち「殺す」ということなのです。
曇りのち晴れ
昼食を終え、「ルッカ」に戻ってみると、スタッフの方が、里親希望者とお話をしていました。どうやら「寒太郎」の里親さんが内定したようです。
里親希望者は、荏田西にお住まいの湯川さん。インターネットの画像で、チェックをしていたそうです。
「今、家で猫を二匹飼っているんですが、どちらもアメリカで、シェルター(里親を探す施設)から譲っていただきました。里親探しで出会いたいと思っていたので、これもご縁ですね」寒太郎をなでながら、目を細めていらっしゃいました。
ちょうどその時、二年前にこちらで里親になったという、斉藤さんと息子さんが、挨拶にお見えになりました。協会の里親探しのホームページを見て、一目で気に入ったという「ナノ」ちゃん(メス・2歳)も一緒です。
「今では大切な家族の一員です」と、笑顔で語る斉藤さん。会長さんもスタッフさんも嬉しそう。「向こうにいたときと、性格も変わらないねー」などと、思い出話に花が咲いていました。
こうして、協会の方や、里親さんたちとの、心あたたまる会話を聞いていると、気持ちもだんだん晴れやかになってきました。
残念ながら、この日もローリーの里親は、見つかりませんでした。でも、大丈夫。必ずいい出会いが待っていて、温かさを共有できるはず。影ながら見守っているよ、ローリー。
(勝 野)

☆神奈川県動物愛護協会では、施設改善 へのご寄付のお願い、バザーや街頭募金 等を行っています。
皆様の暖かいご支援 ご協力のほど、心からお願い致します。
☆里親さんも常時募集しています!
(HPで動物たちのプロフィールを公開中)
http://www2.odn.ne.jp/~kanagawadouai/index.htm
財)神奈川県動物愛護協会
〒222-0024
神奈川県横浜市港北区篠原台町6−41
п@045-421-5592
4月14日(土)、15日(日)
神奈川県民センター 1F展示場にて
「小さな命の輝きを見つめて−第6回写真展」
を開催します。
皆様お誘いあわせの上、是非御来場ください。
朗報!!
ローリーの里親さん見つかりました!!

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