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私の妻は「一家の主」という言葉で私を持ち上げ、「頼りにしてるわ」の一言で、私を家来のようにこき使う。これは、おだてに弱いお調子者的性格をもって、生まれた私の宿命かもしれない。
それは職場でも同様で、「編集責任者」と持ち上げられて、その実、陽のあたらない場所で、雑用ばかり押しつけられている私である。
そんな名ばかりの編集者でも、有意義な役割を担ってはいる。たとえば、この上にでかでかとある特集記事の見出しタイトルを搾り出すというのも、その一つである。 まさに、空になった練り歯磨きのチューブから、しごくようにして搾り出すくらい、エネルギーを消費する(と言うと、自分の無能さを証明するようだが…)。
今回は、横須賀にある「ソレイユの丘」を取り上げたのだが、苦吟している私に、宮澤担当が「ソレイユの丘? だったら『それ行け! ソレイユの丘』でいいんじゃない」なんて、とぼけたことを言う。
「そんなくだらん駄洒落なんか使えるか!」そんな妨害に屈せず、やっとの思いで「湘南プロヴァンス」のフレーズを搾り出した。
「ふーん、横須賀って、湘南ですかね」と人の心を鷲掴みにする宮澤担当。
湘南はもともとは相模の南、すなわち相南。それに中国湖南省の洞庭湖の南部、湘江が注ぎ込む一帯、風光明媚な湘南にあやかったものだから、相模の南、横須賀だって湘南でいいじゃないか。
「でも『太陽さんさん』は駄洒落でしょ?」
うるさいなあ。私が編集責任者なら、彼は編集無責任者だ。しかし、そんなポジションが羨ましくもあるのだ。
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南仏プロヴァンス
「私たちは今、南フランスはプロヴァンスに来ています」
世界旅行を題材にした某クイズ番組じゃありませんが、そう叫びたくなる景色です。でも、まさか。地域限定のひろたりあんの取材でフランスに行けるわけがありません。
私たちが、今来ているのは三浦半島の真ん中、「長井海の手公園・ソレイユの丘」です。市ヶ尾から横浜横須賀道路と国道一三四号を乗り継いで、たったの一時間でやって来ました。
申し遅れました。今回の特集記事担当は、港北NTセンター南店の私、廣瀬と邊土名です。
「OH!サプライ〜ズ。青い空、澄み切った空気、まさにプロヴァンスだね〜思い出すな〜」
もう一人いました。車の中で眠りこけていたのに、入園ゲートを入ったとたん、興奮してはしゃいでいる、ひろたりあんのミステリーハンター宮澤氏です。
「あの〜、宮澤さん。もしかして、プロヴァンスに行ったことあるんですか?」
「はぁ〜? あるわけないでしょ」
「で、でも、思い出すな〜って…」
「アハハ、映画、映画。フランス映画。もう沢山見てるからね。『地下室のメロディ』でしょ『泥棒成金』でしょ。新しいところでは『タクシー』に『スイミング・プール』かな。アカデミー短編映画賞をとった『木を植えた男』もプロヴァンスが舞台だね」
「あっ、映画賞といえば、カンヌ映画祭もプロヴァンスですよね」
「そう。そして芸術家の愛した土地プロヴァンス♪」
「ゴッホ、ゴーギャン、セザンヌですか。ポスト印象派ですね」
「とくにゴッホ。彼の才能はプロヴァンスで花開いたと言ってもいい。『跳ね橋』『夜のカフェ』そして『アルルの女』。それに、この地方の歴史は古くてね。世界遺産に六つも登録されていて…」
「あ、すいません。もういいです。ここはプロヴァンスじゃなくて、プロヴァンス地方をモチーフにした公園なんですから。公園の紹介をしないと…」
村のエリア(農業体験)
この公園は入園料はかかりません。駐車場から入園ゲートを入ると、いきなり広大な農園とお花畑が飛び込んできました。 南フランスの田舎を思わせる「村のエリア」です。
左手は、キャベツや大根など三浦半島を代表する野菜の畑が遥か丘の上へと続き、右に目を移すとこちらは数十万本の四季の花々が咲き乱れるお花畑。これからの季節は一面の「菜の花」そして夏になると「ひまわり」秋には「コスモス」と、四季を通じて訪れる人の目を楽しませてくれます。
それだけではありません。春は大根やじゃがいも。秋はサツマイモや落花生。冬から春にかけてはキャベツというように、土作りから、種まき、苗作り、そして収穫までの農業体験もできるのです。
また南フランスといえばオリーブ。現在、オリーブの森とブルーベリーの畑も育成中だそうで、こちらも楽しみです。
水のエリア
畑とお花畑の間の道をまっすぐ行くと、こんどは南仏風の家が建ち並ぶ一画が見えてきました。

ふりそそぐ太陽に輝くオレンジの瓦屋根。その建物に囲まれた石畳の広場には噴水があり、その向こうには地中海…ではなく、相模湾の青い海。冒頭のセリフは、この「街のエリア」に足を踏み入れたときのもの。ここには、レストランやお土産屋さん。そして温浴施設「海と夕日の湯」があります。まだお昼には早いので、先に進みます。
隣の「水のエリア」には大きな池があります。この池から見る景色も結構いけてます。その池をバックに設営されているドーム状の水上ステージでは、土・日・祝日を中心にダンスやライブ、大道芸やカントリーやフラメンコなどの民族音楽のショーが繰り広げられます。宮澤さんの知り合いの「ジェリーフィッシュカフェ」という横須賀で活躍するミュージシャンやパフォーマーの「らんま先生」も定期的に出演されているそうです。

水上ステージの横の「キッズガーデン」はその名の通り、ゴーカート、アーチェリー、おもしろ自転車など、子どもたちが楽しめる様ざまな遊戯施設が満載です。
私たちも童心に帰って、アーチェリーに挑戦しました。邊土名さんは昔、弓道をやっていたことがあるそうで、構えも堂に入っていて、的中率もたいしたものです。子どもの頃、自分で弓矢を作って遊んでいたという宮澤さんもなかなかの強弓です。的に当たらないのが難ですが…。 
じゃぶじゃぶ池、ビオトープの小川と、水のエリアはまだまだ続きます。吊橋が架けられ、渓谷風に造られたビオトープには清らかな水が流れていました。
ビオトープ(ドイツ語)は日本語に直すと「生物空間」。春になれば、沢山の昆虫がやってくるそうです。その小川を上っていくと、ナゼか「ホタル館」がありました。ここは、ホタルを通して自然環境を学習する場所です。パネルや水槽が置いてあり、ホタルの生態を分かりやすく解説しています。
ホタル館は展望台になっていて、ここからは園全体が見渡せるだけでなく、相模湾や天気が良ければ、くっきりと富士山の姿も拝めます。

まきばのエリア
展望台を降り、「牧場のエリア」へ。まずは牛や馬に会いに牧舎に向かいました。ここは自由に見学ができます。
中に入って最初に出迎えてくれたのは、ホルスタインのなっちゃんとジャージー牛のひろし君。愛くるしい瞳がとっても可愛い♪柵のところから頭をなでなでしてあげました。
ここにいる馬はクォーターホースという種類で、温厚な性格が特徴です。向こう側の窓から外を見ていても、私たちが通ると、みんな側まで寄ってきてくれます。
長いまつ毛につぶらな瞳、近くで見ると馬って本当に優しい顔をしています。
出口のところにカップに入ったニンジンが置いてありました。一カップ百円と書いてあります。
通るたびに寄ってきたのは、エサをもらえると思ったからでした。「なんだ、こいつら冷やかしか?」と思われるのもいやなので、ニンジンを買って、もう一度全員にエサをあげて回りました。この牧舎では、週末限定でジャージー牛の乳しぼり体験もできます。
牧舎の隣に乗馬体験ができる馬場がありました。インストラクターが手綱を引いてくれて丸馬場を一周する引き馬(体験料:七〇〇円)と、本格的なレッスン乗馬のコースがあります。 東南アジアでゾウに乗ったことはありますが、乗馬は初体験。とりあえず引き馬に挑戦してみました。
馬の背に揺られていると、背骨の動きがお尻に伝わってきます。やっぱりロデオボーイとは動きが違います。
引き馬は3才の子どもから体験できるため、鐙(あぶみ)に足をかけて乗るのではなく、台の上から鞍に腰掛けます。鞍は英国式ではなく珍しいウェスタン鞍でした。
「思い出すな〜、OK牧場の決闘でしょ。リオ・ブラボーでしょ。アラモに…そうそう、シェーン!カムバッ〜ク!!それから荒野の…」
「また映画ですか?体験したことを言ってくださいよ」
「フン!何を隠そう、私は幼稚園のころから馬に乗っているのだ」
「えっ、そうなんですか?もしかして貴族だったんですか?」
「バカ。見りゃあ分かるだろう。誰が貴族だ。お袋の実家が馬車屋だったんだよ」
(これは事実のようです)
宮澤さんも乗りたそうにしているので、インストラクターの人に体重制限がないか聞いてあげました。
「大丈夫ですよ。このあいだも、こ〜んな大きなお父さんがお子さんと一緒に乗ってますから」と、インストラクターの女性が両手を広げて説明してくれました。
「ですって、宮澤さん。こ〜んなんでも大丈夫だそうですよ」
「おーい、余計なこと聞くんじゃない。馬が可哀相かなと思っただけだ」
そう言って、颯爽と馬に乗ろうとする宮澤さんに、インストラクターの女性から注意がありました。
「乗るときは前を閉めてください」 思わず股間に手をやる宮澤さん。
「違います。上着の前です。危ないので閉めてください!」
(これも事実。こっちが恥ずかしくなりました)
新鮮野菜と収穫体験
馬場の隣の「動物ふれあい広場」では、ロバやヤギ、ヒツジ、ミニブタ、ウサギなどにエサをやりながら、スキンシップがとれます。
エサをやると手のひらまで舐められ、背中をなでるとなんともいえない感触。ふだん生き物とふれあう機会の少ない都会の子どもたちには貴重な体験です。
動物たちにエサをやっていたら、自分たちもお腹が空いてきました。「街のエリア」に戻って食事にします。
ここにはカフェテリア「プロヴァンス」とバーベキューを楽しめる「ラ・メール」の二つのレストランがあります。私たちはカフェテリア「プロヴァンス」に入りました。
ソーセージ・ヨーグルト・パンなどの自家製品と新鮮な三浦半島産の野菜や魚介類を使った料理が自慢です。なんといっても嬉しいのがサラダバイキング。
「うほっ♪ このサラダ、うっめぇ〜〜〜♪」
シャキシャキとした歯ごたえに大感激の邊土名さんは、何度もおかわりしていました。
「食べ終わった? じゃあ、デザート食べに行くか!」言うなり、どんどん農場の丘の上に向かって歩き出す宮澤さん。
着いた先は温室です。温室では、プチトマトとイチゴが栽培されていました。中に入るとプーンとイチゴの甘い香りが漂ってきます。ここは摘み取った分だけ料金を支払うシステム。三人分かれて真っ赤に熟して大きいイチゴ探しが始まりました。

摘み取ったイチゴは別室で水洗いします。街のエリアに再び戻ってベンチで食しました。
「気をつけな。ゾンビが狙っているから」と、注意書きを指差す宮澤さん。
「ゾンビじゃなくて、トンビでしょ」
くだらないジョークが功を奏したのか、上空を旋回していたトンビも、呆れてどこかに行ってしまいました。
海と夕日と露天風呂
昼このエリアにある工房では、イチゴを使ったパフェ、大福などの手作り体験教室が開かれていました。
子どものように遊び、お腹もふくれた三人。最後のシメは、やはりお風呂。三浦沖五キロ、水深三三〇メートルの海洋深層水を使った露天風呂のある「海と夕日の湯」には、六〇〇円で入れます。普通の水よりも身体を温め、美肌効果やアトピー性皮膚炎にも効果があるという海洋深層水風呂に浸かりながら、海に沈む夕日を眺める。なんて贅沢なんでしょう。

南フランスも最高! ウェスタンも楽しい!でも、最後は日本のお風呂だね〜。
遊んで食べて最後はお風呂♪
おまえら、農業体験もして来んかい!(怒)
かつて農業国といわれた我が日本の食料自給率は四〇パーセント。それに比べフランスは一三〇パーセントもあるのです。
国民一人あたりの農地面積の差など諸事情もありますが、あまりにも低い数字。ソレイユの丘は、南フランスの雰囲気を楽しむだけでなく、温暖な三浦半島の豊かな大地で、農業の楽しさと大切さを学ぶところでもあるのです。
ぜひ、一度足を運んでみて、心なごむひとときを過ごしてみてください。
(廣 瀬)

所在地 横須賀市長井四丁目地内
電 話(046)857-2500
http://www.yokosuka-soleil.jp/
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