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お気づきの方もいるかもしれないが、正直に申しあげると、私は恐妻家である。ただ、賢妻であることを希求する妻は、他者の視線があるところでは夫を立ててくれる。
しかし、家ではどうだ、小遣い値上げを陳情して、逆に値下げされた経験を持った亭主が、あなたの身近にいるか?
人前で「一家の主」を演じさせてもらう代わりに、男の魂である家庭内での威厳を返上した私は、悪魔に魂を売った「ファウスト」みたいなものか。
三野・邊土名両担当の、高速のSA巡りの企画が了承されたが、私には懸念があった。恐らく「食」中心の取材になろう。大喰らいの宮澤も同行するという。
その取材費精算は私の仕事で、掛け合う相手は「経理番長」の異名を持つ経理課のK女史。正直に申しあげると、私は「恐K家」でもある。もちろんKとは女史のことだ。
取材を終えて三人が帰ってきた。
「おい、なんで食事代の伝票が二枚あるんだ?」
「ひとつは昼食代で、もうひとつは『速弁』代です」
「これを取材しなくちゃはじまりませんよね」
涼しい顔で三人が口を揃える。K女史のお達しで、取材の際の食事代は、一人千円と決まっているのに、弁当代だけで7350円だ。目を三角にする女史の顔が脳裏に浮かび、私はにわかに青ざめる。
「これお土産です。これでも飲んで落ち着いてください」宮澤が差し出したのは水の入ったペットボトル。
「足柄SAで富士山の伏流水を汲んできたんですよ」
オレへの土産代はただかよ! 妻やK女史の前だけでなく、広報部の中でさえ、威厳を保てない自分が悲しい。
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「夏ですよ、夏! 夏といえば夏休み。夏休みといえば何ですか? 邊土名(へんとな)さん」
「夏休み? やっぱり海かな、あとは花火、え〜と、夏祭りに盆踊り」
「そうそう、お盆ですよね。お盆といえば?」
「お盆といえば〜? ん〜、帰省ラッシュ」
「ピンポン! 正解。東名の渋滞はハンパじゃないですからね」
「まさか、東名の交通渋滞を取材しようっていうんじゃないよね」
「そうじゃなくて、高速を走ると疲れるでしょ。疲れたらサービスエリアとかで休憩するじゃないですか、今そのSAが面白いことになっているらしいんですよ」
「なるほど、サービスエリアやパーキングエリアにはトイレ休憩に寄るくらいで、じっくりと中を見て回ったことないからね」
「ね、しかも取材という名目で静岡あたりまでドライブ出来るんですよ」
「おっ、それはいいね♪でも、企画が通るかな?取材は神奈川県外っていう決まりがあるからね。それに高速使うだけでも結構予算がかさむよ」
それが通ったのです。なんと、夏休み特別企画ということで神奈川県外への遠出も許されました。(といっても、御殿場までですが…)
かくして、今月の特集は、荏田店の僕、三野(さんの)と邊土名担当が企んだ、いや企画した「東名高速道路のサービスエリア、パーキングエリアめぐり」となったのです。例によって自称「旅のエキスパート」宮澤さんが同乗します。 (
ここだけの話、企画が通った裏には、司会進行役の宮澤さんが自分の行きたい企画に決まるよう、密かに誘導していたという噂が…う〜ん、ビミョ〜)
近場の穴場 『港北PA』
旅先でなく、SA(サービスエリア)やPA(パーキングエリア)を目的として高速に乗るのも不思議な気がします。
会社を出発した僕たちは、横浜青葉ICから東名高速の下りに乗りました。すぐに現れるのが「港北パーキングエリア」。住所は千草台の反対側なので、藤が丘のお店からならめちゃくちゃ近場です。歩いても行けます。
降りてみると、さすが夏休み、予想以上に混雑していました。まず目に付いたのが建物正面の「速弁(はやべん)」の文字。
「学生時代によくやったな〜!」と邊土名さん。
その早弁ではありません。駅弁ならぬ「高速道路の弁当」だから「速弁」です。なかなか手に入らないというので昼食用に予約しておきました。これも取材費で購入。(ウヒッ♪これは役得です) お昼の時間にゆっくりと味わうことにしましょう。
ぐるっと店内を見渡すと、横浜ドーナツ、崎陽軒のシウマイ、鎌倉ハム、小田原のかまぼこと、店内には神奈川の特産品がいろいろと取り揃えられています。
お店の人にどれがお土産ナンバーワンか聞いてみると、「MIYABIの食パンですね」とすかさず指差すパンの山。
かの有名な京都のデニッシュ食パンがここで売っていました。見た目は食パンですが、中はクロワッサンのよう、袋を開けると甘い香りが広がります。今度、これを目的にバイクで買いに来るのもありかも。
何でも揃う玉手箱 『海老名SA』
まだまだ先は長いゾ。驚いてばかりいないで次に行きます。
次に向かうのは、施設の質・量ともに日本で一、二を争うといわれる海老名SA。高速道路の中でも日本一の交通量のある区間のSAというだけあってさすがにデカイ!
建物の中は、食事処の数も豊富です。和食、洋食、ラーメン、そばなど十五軒もの飲食店が客を惑わせます。
レストラン「ダイニングCASA」では地元相模高座豚を使用した生姜焼き定食が人気。レストラン「海鮮三崎港」ではイキのいい海鮮和食が味わえるみたいです。 地産地消の食材で値段もお手ごろ。ファミリーでのお食事におすすめです。
行列ができているお店がありました。有名なベーカリー「ぽるとがる」のメロンパンです。メロン果汁たっぷりの自然な甘さ。実はここのメロンパンをお土産として買って帰るようにいわれているのです。さすがにここは自腹かなぁ…。
車に戻ってみると、宮澤さんも何か買っていました。
「ん、ご当地キティだよ。この顔がメロンパンになったやつが新発売なんだって」
「そ、そうですか…。ごくんっ!(歳いくつですか?という言葉を飲み込んだ音)」
全国を旅して回ったという宮澤さん、ご当地キティはすでに七十個以上持っているそうです。
「向こうに、長崎や北海道のご当地キティも売ってましたよ」と邊土名担当。
「そういうことしちゃいかんよ。ご当地キティは現地に行って買ってこそ価値があるんだ!」とマジで憤る中年キティラーでした。

ホッと一息 癒しの 『中井PA』
海老名の田園地帯を抜けると、だんだん緑が多くなってきました。後部座席の宮澤さんは、いつの間にかいびきをかいています。
次の「中井PA」は、派手さはないものの山と緑に囲まれ、こぢんまりと落ち着きのあるPAです。 建物2階にはシャワー室とコインランドリーがありました。
見せてもらいましたが、とっても清潔な個室です。男性用6室、女性用2室あり、有料の貸しバスタオルも用意されています。 シャワーは10分200円。渋滞や長距離の運転で疲れた体にはありがたい施設です。
飲食店のメニューもリーズナブル。もちろんお土産も売っているのですが、買い物を楽しむというより、運転手さんの休憩の場所として使われているようです。山口百恵、テレサ・テンなど歌謡曲や浪曲、落語のCDを発見。長距離トラックの運転手さんが買っていくのでしょうか。
「驚きの3Dスコープ」という近未来的なボックスを発見しました。双眼鏡を覗き込むと立体画像が楽しめるしくみらしく、3台置いてあります。1台が「動物園」2台目が「昆虫館」そして3台目が・・・「アジアの女性たち」で、です。
「取材だからな、見ないわけにはいかないだろう」と邊土名担当。100円を投入、チャリン♪
「・・・」
「いや〜目が覚めたな〜」車に戻ると、さっきまで寝ぼけまなこだった宮澤さんが元気になっていました。邊土名担当のハンドルを握る手にも気合がはいったようです。シャワーも浴びていないのに…不思議です。
昆虫が景品? 『鮎沢PA』
続いて訪れた鮎沢PAも中井PA同様、規模は小さいのですが、大きな富士山が拝めるなかなかのロケーションです。
ここでも面白いものを見つけましたよ。なんと景品として昆虫が当たるという、その名も「昆虫くじ」。
当りを引けば昆虫がもらえるという、そのままズバリなネーミング。しかも、一等の景品がすごい!ヘラクレスオオカブトと人気を二分する、コーカサスオオカブトという超大型のカブトムシです。
夏休み限定のくじだということですので、見つけた方はぜひチャレンジしてみてはいかがでしょうか。
富士のお風呂にドッグラン 『足柄SA』
静岡県に入ると、前方に大きな富士山が現れました。 旅気分に浮かれている間に二つ目のサービスエリア「足柄SA」に到着しました。
車を降り、まず目に付いたのがドライミストシャワー。大きな筒からひんやりした冷気が豪快に出ています。子どもたちがその前で大はしゃぎ。
訪れたお客さんに少しでも夏の暑さを忘れてもらおうという、SAスタッフの優しい配慮から設置されたものだそうです。
そして、足柄SAといえば何といってもこれ! 西館2階にある「あしがらの湯」です。富士山に三十年以上前に降った雪と雨が地下水となり、伏流水となって湧き出た水を使った本格的なお風呂です。
毎月26日は「風呂の日」ということで、月替わりでかわったお湯が楽しめます。因みに八月はハーブ湯、九月は菊、十月はリンゴでした。

「あしがらの湯」の隣のリラクゼーションコーナーで「ボディソニックチェア」を体験しました。リクラインニングシートに横になり、首に掛けた酸素バーを鼻の前にセット。そこから噴出される高濃度の酸素と静かなヒーリングミュージック(環境音楽)のリズムに合わせた、緩やかな振動が心と体を癒します。
体の疲れをとった僕たちは、建物の裏の金時山を眺められる公園で、昼食をとることにしました。そう、港北PAで買った「速弁」です。
僕が食べたのは、人形町今半の「特選すき焼き弁当」3150円也。特選国産黒毛和牛を使用したすき焼きは、肉の一枚一枚が大きく、長ネギや焼き豆腐にもシッカリと味がしみこんでいます。冷めていてもマイウ〜♪です。
あとの二人がが食べた「日本橋弁当」も美味しそうでした。お弁当には、ペットボトルのお茶もついていました。ごっ茶んです♪
それにしても、サービスエリアの裏に、こんな自然豊かな公園があったなんて。腹ごなしに散歩してみると、アスレチックの向こうにドッグランがありました。中には小さなプールも付いています。
犬を飼ってる邊土名担当が「しまった。うちの子を連れて来るんだった」と悔しそう。(この言い方、犬バカ丸出しですね)
同じく犬好きの宮澤さん(好きなのは猫=キティだけではないようです)も、いつの間にか他のお客さんのワンちゃんたちと戯れていました。

御殿場でUターン 足柄SA(上り) 御殿場ICで一旦高速道路を降ります。せっかく御殿場まで来たのに残念ですが、すぐにUターン。こんどは上り車線のSAに回ります。
同じ足柄のSAでも、上りと下りでは、施設が違っていました。さっそく、その違いを発見。何人もの人が、タンクを持って水道の前にたむろしています。
そこに書いてあるのは「足柄の水」。下りの「あしがらの湯」と同じく、200メートルの深さから湧き出る富士山の伏流水が、水道の蛇口から出るようになっているのです。
どうやら皆さん、この水を汲むだけに来てるようですね。
僕たちもペットボトルのお茶を飲み干して、水を汲んでお土産にしました。
「ちょっと弁当足りなくなかった?」
食券の販売機の前で立ち止まった邊土名担当。今、弁当を食べたばかりだというのに、迷うことなく一番人気の赤富士ラーメンのボタンを押しました。
釣られて宮沢さんが赤富士冷やしラーメンを、仕方なく(?)僕も富士山カレーを注文しました。(これも経費でいいのでしょうか…?)
ここのメニューには、富士山のついたネーミングが多いようです。ちなみに、この食堂の冷水も足柄の水でした。
ラストはここで 『海老名SA(上り)』
東名高速のSA、PA巡りもいよいよ最後。ラストは再び人気の海老名SAです。
正面入り口の前にかわったスイーツのお店を発見しました。「台湾スイーツ 雪花氷(シェー・フォー・ピン)」と書いてあります。
インターネットのグルメ検索で、1位になったこともあるというこのスイーツ。一番人気のアップルマンゴー味を早速買いました。見た目はカキ氷、でも食べるとフワッとして軽い感じ。マンゴーの果肉がアクセントでフルーティ。綿菓子のようなカキ氷といったらいいんでしょうか。
他にも「中華料理世界チャンピオン」が作ったこだわりの肉まん。(それから…ここの売り場の女の子は美人だと、三人の意見は一致しました) 「北の国から蛍のソフトミルク」など、TV番組から人気の出たお土産が目白押し。下り同様、飲食だけでなくお土産の充実度でもナンバーワンでした。

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駆け足で紹介してきました「東名高速SA、PA巡りの旅」いかがでした? えっ、食べてばかりじゃないかって? いや〜ホント美味しい取材でした。ごちそうさま。
バスツアーなどでは、急ぎ足のトイレ休憩で、あまりのんびり見ることのないSAやPA。腰を落ち着かせて見ると、結構見どころ、食いどころ、癒しどころがありました。 これから東名高速を利用する際には、少し余裕を持って出発して、SAやPAでのんびり過ごしてみるのもいいかもしれません。
意外なものとの出会いが、待ってるかもしれませんよ。(三 野)

『トイレ休憩だけじゃ、もったいないよね♪
SA・PAで、意外なものに出会えるかも』 |