■ひろたりあん通信バックナンバー
 2009年12月号
 
地球の未来はどうなるの?!
   JAMSTEC 海洋開発研究機構探訪記

クールアース講座
 青葉区では「CO-DO30(コードさんじゅう)」を達成するために、現在「丘のエコハマ省エネ大作戦」を展開しています。

「そうだったんですか?」

「上野君、CO-DO30を知らないの?」

「ゴルゴさんじゅう…なら知ってますけど? あ、あれはじゅうさんか」

「それを言うなら、サーティンでしょ」

ゴミのG30とか、犯罪を30%減らすC30とかと一緒ですよね。横浜市脱温暖化行動方針。つまり横浜市では、2025年までに一人当たりの温室効果ガス、いわゆるCO2を30%減らし、2050年までに60%減らすという目標のことですよね」

「さすが、大塚君。そのとおり」

「温室効果ガスを減らすのもいいですけど、体重も減らしてくださいね。二人が居るだけで、この部屋と〜ても、温暖化なんです」

「冬は逆に暖房がいらなくて、とってもエコだろうが!」

 そう、横浜市脱温暖化行動方針では、二〇二五年までに一人当たりの温室効果ガス、いわゆるCO2を30%減らし、二〇五〇年までに60%減らすという目標があるそうです。

「温室効果ガス削減もいいけど、体重も削減してくださいね。二人がいるだけで、この部屋と〜ても、温暖化なんです」と上野が毒を吐きます。

「冬は逆に暖房がいらなくて、とってもエコだろうが!」

「まぁまぁ宮澤さん、そんなに熱くならないで、また室温上がりますから。それで省エネ大作戦って、どんなことをやっているんですか?」

「例えば、ゴーヤを育てる『緑のカーテン』運動とか、エコライフチェックシートで二酸化炭素削減量を家庭でチェックするとかだね。そうそう、その一環として、今年八月から青葉区役所のエントランスホールで『青葉区クールアース講座』が開かれているんだ」

「あ、『地球の未来をどうするの?』っていう講座ですね」

「毎月、聴きに行っていたんだけど、11月の講座は、他の取材が重なっててね、大塚君、行ってくれないかな?」

「それって、いつですか?」

「今日のお昼。12時15分」

「ま、また急ですね!」 

 クールアース講座のこれまでのテーマは、「海と地球温暖化と…そして私たち」「秋の味覚 サンマはどうなる?」「暖かい海で…地球環境と海洋生物の深〜い関係」だそうです。

 私(大塚)としては、サンマがどうなるの? というのが一番気になるところですが、今月のテーマは、「都市の異常気象〜ヒートアイランド、ゲリラ豪雨〜」とのこと。

 去年はゲリラ雷雨に何度も悩まされました。ですから、ゲリラ雷雨のメカニズムには興味が湧きます。講師は、海洋研究開発機構で温暖化について研究されている高橋桂子さん。科学だから男性講師だと思っていたのに、綺麗な女性の先生なので驚きました。

ジャムステックへ行こう
 なかなか面白い講座でした。特に地球シミュレータの精度。あ、『地球シミュレータ』は、最近何かと話題になっているスパコン、スーパーコンピューターのことです。地球シミュレータは、仮想の地球を一辺が10qの格子状のブロックに分け、そのひとつひとつに情報を与えて計算を行うことで、より鮮明にリアルに地球環境の再現ができるのです。

 今回の講座では、温暖化による気象や気候の変化、都市化によって行き場をなくした熱が局地的豪雨を起こすメカニズムをわかりやすく教えてもらいました。

「各家庭のエアコンの熱がどのように流れているかといったことまでわかるらしいですよ」

「そんなに素晴らしいのなら、実際に見に行って確かめてきますか」

「え、見られるんですか?」

「金沢区にある海洋研究開発機構の横浜研究所には『地球情報館』が併設されていて、一般の人でも無料で見学が出来るんだよ」

『地球シミュレータ』も、十名以上の団体で、事前に予約をすれば見せてもらえるそうで、さっそく研究所に取材の申し込みをして、特別に予約団体と同じコースを見せてもらうことになりました。

ジェネレーションギャップ
 海洋研究開発機構、通称ジャムステックの横浜研究所は首都高速道路湾岸線「杉田IC」のすぐ近く、電車なら京急「杉田駅」、JR「新杉田駅」からでも歩いて行けます。私たちが門を入ると、警備員さんが笑顔と敬礼で迎えてくれました。

 海洋研究開発機構は、青森、高知、沖縄にも研究所があり、海底や地球の奥深く、地球環境変動のメカニズムまで、様々な分野に亘って最先端の研究・調査をされています。

 中でも有名なのが、世界で唯一、水深6500メートルまで潜れる有人潜水調査船『しんかい6500』。

 ほかにも、プログラムに従って自分の位置を計算しながら進むことのできる無人深海巡航探査機『うらしま』や、鮮やかな映像のハイビジョンで撮影のできる無人探査機「ハイパードルフィン」など幾つもの探査機が世界の海で活躍しています。

「潜水艇といえば、日本沈没に出てきた『わだつみ』を思い出しますね」と、映画好きの上野の発言に、宮澤さんも黙っていません。

「そうそう、あのモデルになったのが『しんかい』なんだよ。あとケルマデック号ね。あの仮面ライダーの藤岡弘がカッコいいんだ。テレビ版は泣いたな〜、ラジオドラマも欠かさず聴いてたし…」

「ラジオって…何時代ですか?」

 宮澤さんと上野の話には、三十年以上の深海のような隔たりがあるようです。

活きのいい天ぷら?
 私たちが、フロアガイドの可愛らしいお姉さんに最初に案内されたのは、地球情報館のホール。中央に大きな「半球スクリーン」がありました。

 ドーム型のテレビとでも言いますか、まるで宇宙から地球を見ているような映像が映し出されます。手前の地球儀を手でクルクルッと動かすと、映像を360度自由に動かすことができ、雲の動きを再現したり、地球をひっくり返したり、これが本当に楽しい。

 来館者の多い日は、これに触ってみたいと行列ができるということですが、よくわかります。

 続いて、マルチスクリーン横のミニシアターで映画を観ました。大型スクリーンには、ハイビジョンカメラで撮影された深海の生物の神秘的な映像が次々に映し出されます。

 ふと隣を見ると、宮澤さんがとりつかれたような眼差しでクラゲの映像に見入っています。前世はクラゲだったんでしょうか?(たぶんエチゼンクラゲですね)

 映像を観たあと、二階のギャラリーで深海探査の歴史を学びました。

「ホタルイカや桜エビが深海生物だったとは知らなかったわ」と上野。

「熱水チムニーっていう海底温泉の噴出孔に群がるエビには驚いたね。300℃以上の熱水のほんのわずか離れた場所で生きているってことは…」

「天ぷらにしても生きてるってこと?」

 実際は温度の低い場所にいるそうです。

地球シミュレータ
 ホールを出て、いよいよ『地球シミュレータ』のある場所に移動します。
 廊下の壁にハガキ大の絵が何点も展示されているのに気が付きました。

「お子さんたちが描かれた絵なんですよ」とフロアガイドさん。

 ジャムステックでは、『ハガキにかこう海洋の夢コンテスト』という全国の小学生を対象としたコンテストを毎年開催しています。

 テーマは「海についての夢」、ハガキまたは、ハガキと同じ大きさの用紙に色つきで描いた絵やCG、アイディアを募集しているということなので、ぜひ応募してみてください。

第12回の募集締切りは来年一月末(消印有効)です。

 研究所の建物と『地球シミュレータ』の建物の間は、4階からの一本の通路で結ばれていました。

『地球シミュレータ」の建物は、免震構造になっていますが、かたや研究所の建物は非免震構造なので、通路は振動が伝わらないような特殊な構造になっているそうです。

 また、建物の外側は、電磁波の影響をうけないアルミメッキ鋼板でシールドされています。さらに、落雷を避けるために、建物から独立した避雷針もありました。

 落雷でパソコンをダメにした経験がありますから納得です。

 また、コンピューター室の照明はライトガイド方式といって、光源がマシン室の外側にあり、チューブの中を乱反射させて照らすことによってノイズを防ぐ特殊照明が使われています。

 まるで、マンガに出てくるバリヤーのように、万全に保護されているのです。

 先ほどの通路から「地球シミュレータ」の内部に入ります。大きなガラスの見学窓から覗くと、フロアには日本で一番早い「スーパーコンピューター」が整然と並んでいました。

やっぱ、一番がいい!
 地球シミュレータを利用する研究プロジェクトは一般公募で選ばれるそうです。公募は毎年行われ、地殻変動、宇宙環境、ロケットエンジンから産業技術や産業製品の開発など、海洋科学のみならず、多岐にわたる先進的な分野で活用されているのです。

 世界スパコンランキングで二年半1位の座に君臨するという、コンピューターの世界ではあり得ない実績を残したトップクラスのコンピューターが、最新のランキングでは31位に転落してしまったそうです。

「ま、順位にこだわんなくてもいいんじゃないですか」と私が言うと。

「科学技術は、一位じゃなきゃダメなの。日本は資源がないんだから、二位以下だったら外国から特許を買わなきゃいけないでしょ」と、いつになく過激な歴史探偵。

「それも一理あるんですけどね」

 地球情報館に戻ってきました。エントランスには、海底下7000mという世界最高の掘削能力を持つ、地球深部探査船『ちきゅう』の百分の一模型と、ドリルビットの実物が展示してありました。

 この船は、統合国際深海掘削計画の主力船として、 巨大地震発生のしくみや生命の起源、新しい海底資源の解明などに貢献しているのです。

「人類の未来を切り拓くためには、なくてはならない船だね。宇宙開発は期待できないけど、海洋開発は日本がイニシアチブを取って、最先端をいかなきゃ。
 地層を探るっていうことは、地球の歴史を掘り起こし、ひいては未来の地球を予測する手がかりにもなる」 まさに、歴史探偵・ちきゅう丸。トップにこだわる理由が分かりました。

編集キャップの座を狙って、下剋上を企てようと画策しているという噂も、あながち嘘ではないようです。

 最後に図書館を見せてもらいました。図書館では海や地球をテーマにした本や雑誌、専門書がずらっと並んでいました。パソコンも常備され、ビデオやDVDも視聴できます。

「おっ、鉄腕アトムのDVDも全巻揃ってるじゃない。考えたら、科学っていう言葉を最初に覚えたのはアトムからなんだよな」

「ぼくはガッチャマンですかね。21世紀は、宇宙旅行なんて当たり前の時代だと思ってましたけど、宇宙どころか、地球や海のことだって、ほとんどわかっていないんですね」

 と、そこへランドセルを背負った子どもたちが数人駆け込んできた。情報館には、近所の小学生が学校帰りに毎日遊びに来ています。

「理科離れっていうけど、子どもは本来、科学が大好きなんだよね」

 それに関しては同意見です。未来の地球がどうなるかは、彼ら平成生まれの『科学の子』たちにかかっているのです。

 海や地球のことを楽しく学べるジャムステックの施設に、ぜひ遊びに来てください。未来への夢がきっと広がりますよ。

                                       (大 塚)

 

 

海洋研究開発機構 横浜研究所

〒236-0001 

横浜市金沢区昭和町3173-25 п@045-778-5318

http://www.jamstec.go.jp/j/ 

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