■ひろたりあん通信バックナンバー
 ▼2011年3月号
夢の吹く丘 〜都筑の丘のすばらしき人々〜
第二十三代日本さくらの女王   大野 可那子 さん

世の中にたえて桜のなかりせば   春の心はのどけからまし

 年末年始、原稿の〆切に追われていると、新しい年の訪れを実感する余裕もない。

 バタバタと慌ただしく日を過ごし、ようやく落ち着けるのは、桜の季節。満開の桜の花を愛でながら、「ああ、今年も年が明けたな」と安堵する。

 「落ち着かない」と詠んだ在原業平の思いとは逆、自分にとっては、桜があるからこそ「のどけからまし、酒うまし」なのだ。
 

日本さくらの会
 「ワシントンのポトマック河の畔で、一般の方から『桜をくれてありがとう』って言っていただいたときは、本当にびっくりしたし、嬉しかった。日本人だけじゃないんですね。アメリカも、きっとドイツもそうですけど、みんな桜が好きなんですね」

 昨年春、財団法人『日本さくらの会』の第二十三代「日本さくらの女王」に選ばれた大野可那子さん。青葉区在住で、歯科医をめざしながら、国際親善大使として国内外で活動されている。

「大学(昭和大学)の先生方も喜んでくださって、この一年間、先生方にサポートしていただいたので、気持ち的に救われました。本当にありがたくて、そうして支えられたから、ここまで来れたんだと思います」

 アメリカの桜まつり、中国の上海万博にも出席。 今年は5月にドイツへ行かれるそうだ。

「医療系なのにドイツ語が…、知識が不安なので(笑)勉強しているところです」

 『日本さくらの会』は、昭和三十九 (1964)年の東京オリンピックの年に、「さくら」の愛護、保存育成、普及等を目的に設立された。

「当時は開発ブーム、桜がどんどん伐られていった頃で、公害で非常にダメージを受けていたんですね。日本の象徴である桜を復活させようというのが第一の目標で、それ以来、植栽や海外との桜の交流にも力を入れてきました。現在、国内外合わせて300万本を植えているんですよ」

 そう語るのは、第四代の「さくらの女王」工藤園子さん。現在は「さくらの会」の理事を務められている。女王の任期は二年、四十六年の歴史の中で、青葉区から二人の女王が選ばれたことになる。

「ワシントンの桜まつりは、100万人も参加する大きなお祭りなんですよ。テレビ中継もありますし、名誉会長が大統領夫人なので、ホワイトハウスにも表敬訪問します。また、50州から桜のプリンセスが選ばれるんです。その方々が一堂に会して、いろんな教育プログラムに参加するんですね。その中の一員に、日本さくらの女王として参加させていただく。50名のプリンセスたちと一緒にプリンセスバスに乗って、パトカーが先導してくれるんですね。ワシントンで信号無視ができて動き回れる。これは大統領と副大統領とプリンセスだけなんですよ。(笑)」
 

さくらの精
 『日本さくらの会』では、桜の植樹、愛護運動に永年にわたって貢献し、その功績が特に顕著であった個人、団体を「さくら功労者」として表彰しているが、今年は、鶴見川流域の環境と景観の整備に力を注いでおられる青葉区の『桜を愛する会』が表彰された。

「神奈川県から四団体が表彰を受けたんですが、すぐにネットワークを作ろうということになったんです。普通は、表彰したことで終わってしまうことが多いんですが、本当はそこからがご縁なんですね」と工藤さん。

大野さんも
「すごいスピードで桜のご縁が広がっていくのを実感しました」と、桜を愛する方々の熱意に驚かれていた。 

 大野さんが女王に選ばれたのをきっかけに、団体同士の横のつながりが生まれた。さくらの女王には、人と人を結びつける不思議な力があるのかもしれない。

「植樹式に呼んでいただくのですが、私は広告塔としてすべての段取りが整った状態のところへ行くんですね。じつは、そこに辿りつくまでが、どれほど大変なことなのか…、華やかな舞台の裏側にある皆さんのご苦労がよく分かりました」

 若いうちにボランティアを知ることができてよかった、大野さん。任期を終えても、活動を続けられるそうです。

「もっと多くの方に『日本さくらの会』の活動を知っていただきたいし、全国各地の桜を愛する会や、桜に貢献されている方々のネットワークを広げていけるよう、皆さんが手と手を取りあって推進していけるよう、お手伝いできればと思っています」 

 
さくらの女王なかりせば  春の心はのどけからまし

 清楚で可憐なさくらの女王、人々の心を華やかなにさせるにちがいありません。

                                                 宮澤
 


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