■ひろたりあん通信バックナンバー
▼2011年10月号
夢の吹く丘 〜都筑の丘のすばらしき人々〜
『田吾作』米店 店主 作家  茅原 長政 さん   

 白髪にサングラス、額にバンダナ。祭りの半被に身を包んだ鯔背(いなせ)な姿は、群衆の中にいても、ひときわ目立つ。

 最初にお見かけしたは、地元の祭りに顔を出すようになった頃だから、もう十年以上になるだろうか。「こりゃ、ただ者ではないぞ!」という強い印象は、その頃から抱いていた。

 ただ、その外見から「ちょっとヤバイ」(すみません)近寄りがたくて、挨拶でさえ二の足を踏んでいたのもまた事実。

 それが五年程前。「元石川おやじの会」の定例会でご一緒した時に、茅原さんの方から声をかけていただいた。話をしてすぐに、これまで抱いていたイメージがウソのように消し飛んだ。穏やかな口調、サングラスの奥の優しい眼。ただし、「ただ者ではない」という直感だけはズバリ!的中した。

田圃を吾が作る
 たまプラで知らない人はいない有名人。皆、「田吾作さん」と親しみを込めて呼ぶ。

「田吾作というのは、田舎者をバカにしたような、あまりいいイメージはないでしょ。私は、これを『心の田んぼを吾が作る』と捉えて店の屋号にしたんですよ。子どもにしろ、家庭の和にしろ、健康にしろ、良い苗は良い土壌が育てる。育てる人しだいなんですね」

 人に対する優しさと正義感。田吾作さんのお話や行動からは、それがにじみ出ている。その思いが形となったのが、投稿エッセイ集『EASY』だ。

 少年による凶悪事件の発生に憤りと悲しみを感じ、常々感じている教育問題に対する思いを発信しようと発行を決意した。もちろん、自らも執筆し、編集製本もされている。

「今年の秋の最新号が八十三号。あと十七冊で100号になるんです。季刊誌ですから、あと四年ですね。それまで自分の体力と気力が衰えないように頑張っていかなくては(笑)宮澤さんも今度一本書いてくださいよ」

 こちらこそお願いします。なにせ開高健さんのエッセイも連載されていたという驚くべき冊子。お客様でもあったジャンボ鶴田さんとの思い出を綴った追悼号は評判を呼び、新聞にも掲載された。

 お店の入口の扉付きの棚もご自身で作られた。誰でも自由に持って行けるようにと、中には先ほどのエッセイ集が置かれている。

 その横には「北朝鮮にて 横田めぐみ心の叫び」とタイトルのついたCDが置かれていた。

「めぐみさんのお母さんの早紀江さんは、私と同じ年なんですよ。めぐみさんが一日も早く帰ってきて、お母さんの気持ちを楽にさせてあげたい…」 

 そんな祈りを込めたご自身の詩『祖国の土を踏むまでは』に、ご自身でメロディをつけて歌い、録音した。この詩は、あざみ野で開催された横田さんご夫妻の講演会で披露された。その時、早紀江さんは涙を流されたという。

 このCDも横田さんご夫妻にも届けられ、後日、早紀江さんからお礼の電話があったそうだ。

愛と正義のアイデアマン
 田吾作さんは毎朝、保木の交差点に立ち、元石川小学校に通う学童の安全を見守っている。その交差点から坂をのぼった途中にあるお店の壁には、宮沢賢治と金子みすゞの詩が大きく貼ってあった。

「俳優の渡辺謙が、東日本大震災の被害者を励ますために朗読した『雨ニモマケズ』の映像を見て触発されたんです(笑)」

 よく見ると、文字は一つ一つ切り抜いてボードに貼って作ってある。

「ここを通る子どもたちにさ、おまえたちも、雨なんかに負けるなよ!なんて、声をかけていたら、じっと見ていた子どもたちが寄ってきて『ね、おじちゃん、これ切って貼ってあるの?』って…みんな感動してるわけですよ。そうだよって言うと、『じゃあ、今度は金子みすゞやって』って言うから、やってくれったって、そんな簡単に出来るもんじゃないって言ったの(笑)そうしたら、私たち協力するからって…」

 5年生と4年生の男の子と女の子だ。

「カッター使うと危ないからと、『おやじの会』の人と一緒に校長さんに相談に行ったら、『田吾作さんいいことやってくれるね。じゃあ、学校を開放してあげよう』と、言ってもらったんですよ」

 カッターを使う部分は田吾作さんが切り、輪郭はすべて子どもたちが切った。

 『こだま』の詩の横には子どもたちが手伝ってくれた事と子どもたちへの思い、最後に「私は毎朝学童達から元気なパワーを貰っています」と記されている。

 二十五年にわたる子どもたちとの交流。なかには、六年間にわたって交換日記を交わした子どもたちもいた。

「子どもは可愛い!(笑)でも、悪いこと、危ないことをやったら怒鳴りますよ。そういう時は叱ってやらないと。子どもたちを育てるのは、地域の皆さんの思いやりとつながりなんですね」

 昔はどこにでもいた雷オヤジ、元小の子どもたちは幸せだ。

「起きて半畳、寝て一畳の精神。地域の皆さんから『田吾さん、田吾さん』って目をかけていただいているのが一番の幸せですね。飲んで、カラオケをやって、たまに旅行に行って…気がついたらベストセラーの作家になっていた…なんて、ワハハハハッ!バッカだねぇ、本当に」

 作家でもある田吾作さん。昨年出された『奴の声』に続く新作も執筆中。また、女手ひとつで八人の子供たちを育てたお母さんの半生を綴った『おふくろ』(六年前に出版)も近々電子ブックになる予定だ。

 防犯パトロールに、祭りに、元気市、そしてボランティアにと、八面六臂の田吾作さん。

 愛と正義の使者に休みはない。地域と子どもたちを守って今日も行く。 お身体大事にしてください。

Ta Go 39 ライスパーラー 田吾作米店

青葉区美しが丘4-55-19

TEL 0120-580288

毎月第三日曜の元気市(美しが丘公園)にも出店されています。

奴の声  茅原長政 著

自分の中のもう一人の自分…分身。奴の声との対話から、過去への

旅は始まった…  サスペンス?いえいえ半生を綴った自伝です。

出版社: 東京図書出版会 定価 1,000円+税

この本を10名様にプレゼントいたします。

住所 氏名、年齢、電話番号、「奴の声 希望」と明記の上

hirotarian@b06.itscom.net  までご応募ください。



 


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