2004年青葉区小中高生ミュージカル
           「こどもの国物語〜闇と光が出会うとき〜」
宮澤高広出没 「こどもの国で戦争を考える」の巻
   子供の頃、近所のレンガ工場の敷地に防空壕があった。友達数人で懐中電灯片手に肝だめしをしながら闇の中に入っていったのを覚えている。あれから三十数年。再び防空壕の闇の中に足を踏み入れるとは・・・。

多摩丘陵の軍事施設
 第二次世界大戦中、川崎の高津区から続く多摩丘陵には数多くの軍の施設が存在しました。
 武器弾薬を運ぶ軍用道や鉄道が各地に敷かれ、陸軍の射撃場(現、國學院大學)や廠舎(しょうしゃ=演習兵の宿泊施設・美しが丘)、そして青葉区と町田市にまたがる広大な敷地には「東京陸軍兵器補給廠・田奈部隊」が置かれ、砲弾や手榴弾を作る工場や弾薬庫がありました。現在の「こどもの国」です。防空壕はその中に残されてい たのです。

 来年一月公演される青葉小中高生ミュージカル「こどもの国物語〜闇と光が出会うとき〜」に出演する子供たちとともに「こどもの国」を訪れたのは10月10日の。

 ここにあるのは防空壕だけではありません。休日ともなれば家族連れで賑わうこの子供たちの楽園には、いくつかの戦争の爪あとが残されていたのです。私たちは係員の方に園内を案内してもらいながら、戦争の歴史を学んできました。

学徒動員
 昭和十九年、動員学徒を乗せたトラックが、軍の偉い人を乗せた乗用車を避けようとして、川に逆さまに転落。乗っていた6人の男子生徒が水死しました。横浜二中(現在の翠嵐高校)の生徒です。事故現場となった奈良町の三叉路の道路脇に慰霊碑が建っています。

 当時十四歳から十五歳の中学生が学徒動員として、この工場で危険な弾薬を扱う作業に従事させられていました。男子生徒は寮生活をしながら、神奈川高等女学校(現神奈川学園)の女生徒はトラックや軍用線で通っていたそうです。

 ここで作られた弾薬は、この軍用線(今のこどもの国線)で長津田に運ばれ、横浜線で橋本を経由して相模原の軍施設まで運ばれていたのです。その駅があったという正面広場の右側の小高い丘には、女子学生の休憩所がありました。現在、その丘に『平和の碑』が建っています。

平和の祈り
 『私たちは、国の命令で勉強をやめ、この工場で砲弾を作る作業につきました。その砲弾が地球上のだれかを傷つけたのではないかと思うと、とても恐ろしい気持ちです』

 そう記された碑は、動員学徒だった酒井智恵子さんが、当時の体験記「田奈の森」を出版され、その売り上げを費用にして神奈川学園の同窓生の手で建てられました。白百合が沢山咲いていたというこの丘には、今もその方々が集まって昔話をされているそうです。

弾薬庫
 羊たちが穏やかに草を食む牧場。その道を挟んだ向かいの森の中に弾薬庫はありました。むき出しのコンクリートに緑の大きな扉。遊びに来たことのある人なら、およそ遊園地にふさわしくないこの建造物を見て「アレは何だろう?」と思ったのではないでしょうか。  
 全部で三十三基あった弾薬庫では高射砲や対戦車砲、小銃の弾が作られていました。戦況が悪くなるにつれ、手榴弾や棒地雷も作られたそうです。
 見せていただいた弾薬庫の中は、照明も無く、床は瓦礫で足を踏み入れるのも危険な状態。よく見ると足元には薬莢が転がっていました。天井には2〜6個の換気口が設けられています。土の中なので夏は涼しく、冬は暖か。学生達は外での仕事よりも、ここでの作業を喜んだそうです。

惨劇
 中央広場ではこの日、吹奏楽団の演奏会が開かれていました。

 昭和十九年の十二月、この広場で大きな事故が起きました。馬車から貨車に弾薬の積み下ろし作業をしていた時、誤って弾薬が爆発したのです。六人の人が亡くなり、たまたま通りかかった女子学生も、片足切断という重傷を負いました。その日は雪が降っていたそうで、白い雪の上は真っ赤に血で染まり、馬も人もバラバラにな りました。血は排水溝から奈良川に流れ込み、川は数日の間赤い色をしていたということです。

考える材料
 「私は戦争がいけなかったとか良かったとか、どうして負けちゃったんだろうと言う説明は一切しません。ここにあるものを、そのまんま何だろう?という疑問だけで調べたことをお話しているだけです。こういう事実を伝えないことには、みんなが考える材料がない。歴史的なものをよく調べた上で、さてこれから何をしようか、と考えるのは皆さんなんです」

 案内してくださった秋山さんは、最後にこう締めくくられました。私も今回主観を挟まないで、また参加した子供たちからも意見を聞かず、見たまま聴いたままのことをここに書きました。考え判断するのは皆さんです。子供達もそれぞれの心の中に戦争に対する思いをめぐらしたことでしょう。

小中高生ミュージカル
 来年一月に上演される青葉区小中高生ミュージカル「こどもの国物語〜闇と光が出会うとき〜」は、こうした田奈弾薬庫で起きた出来事を題材に描かれます。

 「戦争はとにかく辛くって不幸でっていうのは嫌だったんです。戦時中っていうと悲惨さばかりが打ち出されるけど、実際はそんなに辛かったことばかりじゃない。楽しかったこともきっとあるはず」そう語るのは、今度の舞台で主人公ゆり役を演じる小畑明日香さん。脚本にも携わっています。

 「今年は題材が題材なので、出演者全員の共通理解を深めていこうということで、その一環としてフィールドワークなども行っています」

 今年は小学校四年生以上に絞り、人数を減らしました。高校生がリーダーシップをとって今まで以上に張り切って練習に取り組んでいます。

 戦争を知らない子供たちと呼ばれた

                

こどもの国物語
〜闇と光が出会うとき


2005年1月22日(土)15時00分
         23日(日)10時30分・
               14時30分

青葉公会堂(東急田園都市線市ヶ尾徒歩8分)

料金/大人999円(前売900円)
          高校生以下500円(前売・当日とも)




連絡先/携帯090−1211−0088
メール/aobaku.musical-0088@ezweb.ne.jp
HP/http://homepage2.nifty.com/dorama-net/
FAX/045−972−9444
 

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