■物の数ではない?私の休日出勤
今年最後の日帰りバス旅行のコースを、いろいろと考えましたが「寒くなったから、暖かいところの方がいいや」といういかにも短絡的な企画が「紅葉の熱海梅園と伊豆みかん狩り食べ放題」です。「ひろたりあん旅倶楽部の旅行は、平日出発ばかりで、なかなか参加できないわ。たまには週末にも設定して」そんなご要望にお応えして、今回は平日と週末出発の二日間設定しました。日頃お仕事に勤しむ方々に、心を癒していただけたら…、「そうだ、その気持ちが大切だ、そのためならおまえの休日出勤など、物の数じゃない」だったら添乗を変わってくださいよ、と言いたくなりますね。
それでは「紅葉の熱海梅園と伊豆みかん狩り食べ放題」をご紹介したいと思います。「ちょっと待て、このコースは昨年も一昨年も催行したんじゃないか」やれやれまたイヤミな上司の横槍です。「おまえの頭は、どこの旅行会社でもやっている定番コースしか思い浮かばないのか」「何を言っているんですか、毎年三百名も集まっているじゃないですか」「去年成功したからといって、今年も必ず盛況するとは限らんぞ、世は絶えず変化しているんだ。もっとクリエイティブな仕事をしろ」憎らしげな物言いですが、確かに正論です。その結果といえば、応募者は三百名どころか百名程しかありませんでした。「それみろ、お客様がおまえの怠慢な心を見抜いた結果だ」嬉々面々として、説教に拍車をかける上司の前で、ただ身体を小さくする(残念ながら小さくはなりませんが)私です。
それでも私の企画に同意していただいたお客様に感謝しつつ、気を取り直してのご案内です。
■「なんとか男」って?
両日とも天気は雲一つない快晴。「富士山がクッキリと見えますよ。こんなに綺麗な姿は一年に数回位しかないですから」バスガイドさんの言葉に、私の後ろに座っていたお客様が
「そういえば今日は森本さんは来ていないの?」「私が森本ですが」「あら、あなたがあの有名な『なんとか男』の森本さん?」失礼ですよね、「なんとか」の部分には「雨」が入るに決まっています。「だって森本さんが添乗するツアーって、いつも雨が降るって言っているじゃないの」良い評判にしろ悪い評判にしろ、尾ひれがついて、瞬く間に広がっていくのは紛れもない事実です。
■日本で一番遅い紅葉
バスは熱海梅園に到着しました。「あら熱海梅園って紅葉の名所なの」とよく言われます。この熱海梅園は日本で一番早咲きの梅の名所として有名ですが、意外にも日本で一番遅い紅葉の名所としても名高いのです。私も皆様に、京都とか、立山とか、紅葉の名所めぐりをいくつかご案内しましたが、横浜からは気軽に紅葉狩りを楽しめるのが、熱海梅園の魅力なのです。園内にはイロハモミジ三百六十本をはじめ、ムサシノ、イチジョウなどのカエデ類が赤く色づき、訪れる人々の目を楽しませてくれます。
熱海梅園をあとにし、車窓からは快晴の相模湾、遠く伊豆大島を眺めながらの移動です。ただお客様は絶景な車窓より、お昼ご飯のことで頭がいっぱいの様子です(もちろん私も)。とり急ぎバスは昼食会場へ向けてまっしぐら、そこでカニちらしの昼食とお買い物を楽しみました。
さて、食後は伊豆スカイラインを通って、修善寺自然公園もみじ林へのご案内。ここは一ヘクタールの敷地に約千本のモミジが群生しています。鮮やかに紅葉するもみじ群は、伊豆では珍しいそうです。私見ですがここの紅葉はなかなか風情があって、葉っぱの色と太陽の光と木々の影のコントラストが、なかなか渋く感じられました。
■着膨れの正体は?
最後は伊豆長岡にあるみかん農園で、みかん狩り食べ放題です。みかん農園のおじさんが、「みかんを入れるアミ袋を買う人は五百円、胃袋に詰めて帰る人は無料だよ」とジョークを飛ばしていました。ひろたりあん旅倶楽部のお客様に限らず、旅先での世の奥様方の食いしん坊ぶりは世に名高いですが、意外にもみかんは五個も食べたらお腹がいっぱいになってしまいます。
みかん農園で妙に着膨れしている奥様方がいて、どうやらみかんをアミ袋ではなく、コートやジャンパーに詰め放題にしているようです。旅倶楽部のお客様がそんな下品であるはずはなく、もちろん別のツアーの方でした。えっ?私?私のはみかんではなく、正真正銘の脂肪です。
あたりは四時にもかかわらず薄暗くなり、晩秋の伊豆の紅葉めぐりも無事に終了しました。
(森 本)
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