■今度こそ、日帰り上高地
今回は日帰りで上高地へご案内しました。日帰り上高地旅行は、もとはと言えば二年前の九月に正式発足したひろたりあん旅倶楽部の、輝かしき第一歩を飾るべく企画だったのですが、催行日直前の大雨で、土砂崩れが発生し、釜トンネルが通行止めで断念。代案として急遽組んだ乗鞍スカイラインも、追い討ちをかけるかのような大雨で視界が悪く、ただ岐阜県までバスを乗りにいったような、バス乗り放題の旅となり(バスマニアには嬉しい企画でしょうが…)旅倶楽部の前途の視界まで厚い雲にさえぎられたという、因縁深い観光地です。お客様サービスの一貫として生まれた旅行企画、あれから丸二年の歳月が流れ、何とか軌道に乗せることができたのは、多くのお客様からのご支援の賜物です。二年前の秋のリベンジというわけではありませんが、あらためて日帰り上高地旅行を企画したわけです。
■上司の言い訳
今回二日に分けてご案内したのですが、実は一回目の方は私は添乗せず別の社員に行かせました。当日は晴天に恵まれたのですが、往路の中央自動車道で大事故が発生し通行止めとなったため、やむを得ず国道へ迂回したものの、二十キロ以上の渋滞に巻き込まれるという「受難」にあったとの報告を受けました。
「気高き聖なる上高地が、おまえみたいな俗物の侵入を拒もうとしているんだろうな」例によってイヤミな上司の一言。「私はまだ今回は行っていません!」抗議する私に「おまえが旅行記のネタに困らないように、『イヤミ』をいちいち考えるのも結構つらいんだぞ、少々の矛盾には目をつぶれ」言い訳の上手なわが上司です。
最近、お客様から「悪運」だけは強いとの評判高い私(天候運はかんばしくありませんが)ですので、二回目の催行は厄払いになればと、私が添乗することになりました。
当日バスに乗り込むとなんと自称「ひろたりあん旅倶楽部専属運転手」Kさんがピンチヒッターとして待っていてくれました。「ひろたりあん通信読んだけど森本ちゃんは雨男なんだって?」「面目ない…」「大丈夫オレは晴れ男だから心配するなよ」心強い援軍を得て、バスは中央高速をひた走り一路上高地へ向かいました。
■晴れ男VS悪運男
K運転手のご利益か、天候にも恵まれ、渋滞や規制もなかったのですが、反対車線では二ヶ所でトラックが横転する事故が続き通行止め、隣にいたKさんが「オレがきたから天気になったし、森本ちゃんがいるから厄払いなんだね」要するに私だけでは天気は保証できないが、事故には遭遇しないというジンクス(?)が固まりつつあるようで、どうやら私は目立たないところで役に立っているようです。「いやあ、森本ちゃんは十分目立っているよ、図体がでかいから」ちょっと、意味が違うでしょうが…。
予定よりも三十分早く到着した上高地の大正池、二ヶ月前に一泊旅行で立ち寄ったときと同じく、雲ひとつない快晴です。からまつ林の向こうに聳える明神岳と穂高連峰の偉容、手が切れるように冷たい梓川の清流、その上を渡る河童橋など都会の生活に慣れた我々を癒してくれる美しい自然が鮮やかに見渡せました。感動に浸っている私を横目で見ていたK運転手が「前回来たときも晴れていたよな」と、すかさず自分が晴れ男であることをアピールしていました。通常なら自由散策を三時間とれれば良い方なのに、
今回は四時間もとることができて、河童橋から先の明神池の方へ行かれた方も多くいました。なかには時間を持て余してしまった方もいたほどゆったりピュアな自然に触れることができました。
夕方に帰路に就き、朝方の事故通行止めも解除となっていて、バスは快調に走り、予定より早くお客様を地元までご案内することができました。
■最低一泊ガイドさん付き
バス車中、お客様数名の方から「最近ひろたりあん通信の旅行記に出てくる歌う運転手Kさんはどんな人なの?」本人を目の前にして質問してきました。実は出発前にKさんから「今回はガイドさんがいないので落ちついて歌えないから、紹介は勘弁して」と口止めされていたのです。長距離を走るバスは二名の運転手が乗車するため、原則として日帰りの場合はガイドさんは同行しないのです。「いつだったらいいの?」「やっぱり最低でも一泊とガイドさんは欲しいね」いつもは愉快で楽しいKさんですが、案外堅実な一面を見せてくれました。
(森 本)
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