■食文化探究ツアー?
春の陽気に誘われてどこか出掛けたくなる今日この頃です。ところが「春眠あかつきを覚えず」のことわざどおりに、日がなウトウトしている私の頭では、なかなか春にふさわしいバスツアーの企画をまとめることができなくて困っていたところ、いつも取引している業者さんから助け舟、それこそ私の目が覚めるような企画を提案していただきました。 内容はというと、ホテルでの昼食バイキング(デザートのケーキも含めて)といちご農園での食べ放題。もちろんこれだけでは終わりません。参加者全員にお茶やワカメそして缶のソフトドリンク付のお土産付き。さらに、アンケートに答えると抽選で旅館、リゾートホテルの宿泊券やホテルでのお食事券がもらえるという、日帰りバス旅行にしてはいたれりつくせりの内容で、欲深き…もとい経済観念の豊かな、食いしん坊集団…もとい食文化に造詣の深い集団として、世間を賑わすひろたりあん旅倶楽部のお客様に、ご満足していただけること間違い無しの企画です。
予想通りに約百六十名のお客様がご参加され、中にはキャンセル待ちでもいいからと当日出発直前まで粘った、貪欲な…もといわが旅倶楽部を熱烈にご支援してくださっている方までおられました(結局はお客様の粘り勝ちでした)。
■そんなに気を遣わないで…
東名高速をひた走り、最初に訪れたのはお茶工場です。この工場ではお茶の製造行程を見学するのですが、お客様は製造行程よりもお茶のプレゼントの方に興味をもっていました。それに昼食前なので、どうやらホテルでの昼食バイキングのことで頭がいっぱいのご様子。「早く食わせろー」と言わんばかりの無言のプレッシャーを察知し、工場見学はさっとすませ、急いでホテルセンチュリー静岡へ向かいました。
「料理は三十種類、料理がなくなってもすぐ補充しますから、安心してお召し上がりください」と会場へご案内したのですが、私の話を聞きもしないで、席に着くやいなや一目散に料理台に群らがります。参加された方の大半は女性で、旅先での世の奥様方の凄まじい食いしん坊ぶりにはいつも圧倒されてしまいます。私も負けじと闘いたかったのですが、
スタッフが私の体を気遣ってくれたようで、別席に野菜の煮物中心のヘルシーなお弁当が用意されていました。
■昼寝がしたい
不完全燃焼の私に比べ、しっかり過ぎるほど食事を摂り満足顔のお客様たちを、次にご案内したのが日本平です。この日本平は清水市と静岡市の間に位置する標高三百八mの丘陵地、日本一といわれる富士山の絶景を楽しんでいただきたかったのですが、天気が曇り空なのでおあずけ。
次に訪れたのが「三保の松原」です。天女伝説で有名なこの景勝地ですが、意外とどこにあるか知らない方が多いようです。清水港の自然の防波堤のように海に突き出た砂洲。その南側が、天女が「天の羽衣」をかけたとされる伝説の「羽衣の松」をはじめ、万葉の昔から詠われた美しい松林が連なるのが三保の松原です。空は曇っていますが、春の駿河湾は穏やかで、昼寝をしたい気分にさらされます。
■集団改め「軍団」
いよいよ食いしん坊集団お待ちかねの、久能山でのいちご狩り食べ放題です。いちご狩りのツアーの時は、必ずといっていいほどいちごにまつわる「おばたりあんギャグ」が飛び交います。やれ「いちごを食べる順番は一号車から」だとか「いちごは十五(1・5)個食べるのよ」とか「いちごは一月から五月まで収穫できる果物だからいちごというのよ」等などバス車中はいちごにまつわるくだらない話で賑わいます。
バスをおりると「結局美味しくたくさん食べられればそれでいいじゃないの」との結論なのか、車中の賑やかさがウソのように、皆さんは黙々といちごに挑んでいきます。「こりゃあ、食いしん坊集団というよりも食いしん坊軍団だな…」あっという間の四十分、皆さん、摘みたてのいちごの美味しさを堪能されたようです。ただいちご農園を食べ尽くす勢いのその食欲に、来年からひろたりあん旅倶楽部の「食いしん坊軍団」はお断りと言われるのが少々心配ですが…。
最後に鮮魚センターでのお買物を楽しみ、帰路に就きました。バス車中でアンケートのご協力をお願いし、「抽選でホテルでのお食事券を差しあげます」と言う私に「わたしはいらないわ」と返した女性のお客様がいました。「?」「事件に巻き込まれるのが嫌だから」どうやら「お食事券」を「汚職事件」と聞き違えたようです。ひろたりあん旅倶楽部の食いしん坊軍団ツアーは、おばたりあんギャグで締めくくられました。
(森 本)
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