■ひろたりあん通信旅行版
4月30日
   「つつじの群落・館林と足利フラワーパークの大藤」
■温泉まんじゅうじゃないってば
 大変なことになりました。何かっていうと、今年の記録的な暖冬の後遺症です。桜の開花が例年よりも十日から二週間早くなってしまい、今春の桜鑑賞ツアーは総崩れ。イヤミな上司の根拠に乏しい競馬の予想と違い、これまで花の開花時期を当てまくった私でしたが、さすがに今年は敗北街道まっしぐら。お客様にかろうじて納得していただけたのは、高遠のコヒガンザクラぐらいです。今回のツアーの出発の十日前、ニュースで「館林のつつじが満開です」という報道はショックでした。「あーあこれではブーイング間違いないな」天は我を見放したのかキャンセルが相次ぎ、頭を抱えました。それでも私を信じてくれた?百二十名のお客様に感謝しつつ当日を迎えました。

 当日バスに乗り込むと「あらあなたがひろたりあんの名物添乗員なの」とバスガイドさん。「名物名物って、人を温泉まんじゅうみたいに言わないでよ」「あら、温泉まんじゅうじゃなくてアンパンでしょ、アンパンマンみたいな添乗員がいるって、神奈川県のバスガイドの間では有名よ」「…」話を聞くと、昨年旅行記を賑わせた、おばたりあんバスガイドのMさん(覚えていますか?)がひろたりあん旅倶楽部と私の存在を、宣伝?してくれているそうです。 写真 どうやら私の噂は会社内にとどまらず同業他社まで行き渡ったようです。まあ、「迷惑」ではなく「名物」、それも正義の味方アンパンマンという噂なら、よしとしましょうか。

■どっちが失礼なんだか…
 バス車中でガイドさんが挨拶のとき「ところで、この『ひろたりあん』ってどんな意味なの」この手の質問は日本はおろか、世界各地でもされました。お客様も「そういえばなんで『ひろたりあん』っていわれているのだろう」と車内が騒然となりました。以前、女性客の多いわが旅倶楽部を評して、おばたりあんバスガイドのMさんが「おばたりあん旅倶楽部だと世間体が悪いので、会社名の『廣田』をかけてひろたりあん旅倶楽部にしたのよ」という説をでっち上げたという話を披露すると、今回のバスガイドさんは「皆さん森本さんはこんな失礼なことを言うんですよ」とおばたりあん…もとい熟年の女性のお客様に面と向かって言い放つ始末。どっちが失礼なのかと苦笑いしながら、バスは東北道をひた走り、最初の訪問地、足利フラワーパークに到着。  ここは日本で初めて大藤の移植に成功したことで有名です。樹齢百年以上の大藤が四本もある、関東有数の藤の名所です。異常気象のせいか、紫色の藤の花は散りはじめでしたが、白い藤の花がとても見事で、ブーイングからは辛くも免れました。

■枯れてなくってよかった
 気になるのは次に行くつつじの群落・館林です。「つつじが岡公園には早咲きと遅咲きのつつじがありますのでご心配なく」それでもお客様は半信半疑、実は私も半信半疑。「遅咲きのつつじが枯れていなければいいな」祈る気持ちで会場に入りました。 写真  祈りが通じたのか、昨年の同じ日のように満開とまではいかないものの、遅咲きのつつじが執念深く咲いていてくれました。

 このつつじが岡公園は、元々ヤマツツジの自生地で、樹齢千年もの古木が現在でも花を咲かせています。江戸時代の歴代の館林城主たちが、つつじの保護増殖に努めた結果、現在では約五十種一万本の世界一を誇るつつじの名所となりました。なにしろ、城主交代の際は双方から役員を送り、つつじを一本一本数え、目録を添えて新城主に引き継いだといいますから、その情熱ぶりは驚きです。

■指を鍛えなきゃ
 また「一枝を折る者は一指を折る」という城主からのお触れが出され、もし子どもが誤って枝でも折ると、親はその罪が及ぶのを恐れ、夜を待って密かにつつじ一株を植え、償ったといいます。その結果、つつじに悪戯をする悪習慣が消えたばかりか、つつじの本数が増えるという、一石二鳥の妙案となりました。もし「一裸木があれば一指を折る」なんてお触れが出ていたら、私の十本の指では足りないところでした。まあ、その時はイヤミな上司の指も借りましょうか。とにかく今回は、参加の皆さんの「心の寛容さ」と「遅咲きのつつじの執念」にひたすら感謝です。

 帰途、お客様が「来年の花紀行はどうなるのかしら?」地球の温暖化傾向は心配ですが、元来呑気な私は「来年のことは来年考えればいいんじゃないんですか」そして、自分の指が折られないように、いかに頑丈に鍛えるかを考えていたのです。
                                    (森 本)
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