■長すぎる「余談」
今回は北陸の奥座敷、山中温泉と金沢を中心にご案内しました。特に今回の目玉は格安な料金、北陸までの交通費と観光、そして一泊二食の宿泊代込みで二万三千円ポッキリ(余談ですが、語源不明なこのポッキリという言葉はなぜか不思議なかんじですよね。「ちょうど」とか「ぴったり」という意味ですが、だったら「私は今三十歳ポッキリだ」とか「この服、あなたにポッキリね」とか使ってもいいのでしょうか。似たような言葉に「ギャフン」があって「今度こそあいつにギャフンと言わせてやる」と再挑戦し、降参した相手が「まいった、ギャフン」と言うケースって現実にあるのでしょうかね…余談終了)、とにかく大変オトクなツアーなのですが、参加されたお客様の中に北陸ご出身の方がいらして「帰省する交通費よりも安いなんて絶対何かウラがあるはずよ」と疑惑の眼差し。「安かろう悪かろう」なら、お客様は二度と戻ってはきません。「安かろう良かろう」な企画を皆様に提供すること、これが旅行業に携わる者の腕の見せどころです。私に疑惑の目を向ける北陸出身のお客様を「ギャフン」と言わせてみせましょう(言ってくれるかな?)。
■永平寺そばを堪能
バスは東名、名神、北陸道を延々とひた走り、お昼頃に最初の観光地「永平寺」に到着。ちょうど…もとい「ポッキリ」お腹が空いてくる時間ですので、参道に軒を連ねるお店で昼食。私は名物の「永平寺そば」を注文しました。「永平寺そばこそ噛みしめて食べるそばである」そうで、色が黒く腰のしっかりした永平寺そばを噛みしめると、そば本来の味がにじみ出てきます。一見無骨なようで味は繊細、聖地永平寺の門前にふさわしいそばです。そういえば、そば打ちの所作は仏門修行に通じるものがありますね。
昼食後ゆっくりと永平寺の参拝(観光というとお坊さんに叱られるそうです)したあとは北陸観光の定番コース「東尋坊」です。現地のガイドのお姉さん(としておきます)の誘導のもと記念撮影のとき「添乗員さん。二人足りないよ」そういえば天真爛漫でふくよかなご婦人と旦那さまがいません。他のお客様が「東尋坊といえば自殺の名所だからなあ」おいおい。「この不況だものねえ」おいおいおい。冗談にもほどがあります。常連のそのご夫婦が、自殺するような脆弱な神経とは無縁(失礼)なことは、私が保証します。ガイドのおばさん…もとい、お姉さまがメガホンで「お客さん〜そんなところに立っていたら海に落ちて助からないよ」と見てみるとわがひろたりあん旅倶楽部の噂をしていたお客様でした。いちいちお客様の言動に翻弄されていたら、添乗員は務まりません。
■ギャフンと言ってほしかった
自殺疑惑も解明され宿泊先の山中温泉の河鹿荘に到着。温泉で旅の疲れを癒したあと、お待ちかねの夕食の時間です。「私は絶対にだまされないわよ。安いツアーなんだから食事は大したことないのは知っているのよ」先程のお客様がまだ言っています。「とりあえず召しあがってから批評をしてください」食事が始まると、案の定にこやかに夕食を摂っているご様子。それ以降その方からのブーイングはなくなりました。私とすれば「ギャフン」と言って欲しかったのですが。
「さすが森本さんね。よくこんな食事の美味しいホテルをみつけたわね」当然です。「安かろう良かろう」を信条に、わが身を削るような思い(本当に『思い』だけで体型はなかなか削れませんが)で情報収集をしているのですから。お客様からこういう言葉をいただくことは、添乗員冥利に尽きるというものです。
■兼六園が兼ね備えているもの
二日目は金沢の兼六園のご案内。今年はNHKの大河ドラマ「利家とまつ」でクローズアップされ「加賀百万石博」が開催されるほど賑わいを見せる金沢の名勝地兼六園は、日本三大名園の一つに数えられます。この日は六月とは思えないほどの暑さでしたが、園内を巡る犀川上流から取り入れた曲水が、涼気を与えてくれます。宏大、幽邃、人力、蒼古、水泉、眺望という六つの景観が兼ね備わっていることから命名された兼六園に加賀百万石、前田家の栄華がしのばれます。
帰路のバス車中では立山連峰や乗鞍岳などアルプスの山々がクッキリと聳えたち、爽やかな初夏の風景を楽しみながら横浜へと向かいました。
まだまだ書きたいところですが、「ポッキリ」時間となりました〜♪。
(森 本)
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