■化けて出てくる?
今回は秩父、長瀞の紅葉をご覧いただくコースを設定しました。今年の夏は冷夏といわれましたが、秋から冬にかけて、そのツケを取り戻すかのような気候、異常気象はまったく迷惑な話で、紅葉予想が非常に難しくなります。もちろん今年の紅葉は全般的に遅めで、場所によっては一ヶ月以上も遅れています。夏の行楽を楽しめなかった、そのフラストレーションのせいでしょうか、紅葉の名所周辺のホテルの予約状況も夏場から満室、異常なのは気象だけではありません。そこで宿泊旅行は控えて、紅葉の長瀞ライン下りとSL列車の日帰り旅行を設定しました。
「おい、それは去年もやったコースじゃないか?」とイヤミな上司の弁。毎年企画しても、人気のツアーは黙っていても集客できるのは、周知の通りです。
今回も平日と休日の二パターンでご案内しました。バスはひろたりあん旅倶楽部名物の高級バス、エアロクイーンVIP。しかし、直前の情報では、私をいじめることに生き甲斐をもつ、意地悪バスガイドさんのおまけ付きとのこと。 当日恐る恐るバスに乗り込むと、いつもの運転手さんはいるのですが、彼女の姿が見えません。「そういえば例のガイドさんは?」「この前、姨捨(おばすて)サービスエリアで捨ててきた」「やったー!」思わず快哉を叫ぶ私に対し、運転手さんが怖い一言。「森本さん、女の執念は深いから、いつ化けて出てくるかわからないよ」「ゾ〜っ」でも殺しちゃったらマズイでしょ!
■感化されてしまった?
初めてご参加されるお客様は一様に「旅行記で想像してたよりよりも太っていないわね」とおっしゃいます(ホントなんです)。それが、だんだん参加回数を重ねるうちに、朝の挨拶は「相変わらずやせないわね」に変化していくのが常です。どうやら意地悪バスガイドさんにだんだん感化されているようなのです。「お客様に彼女の霊(?)がついているんじゃないの?」運転手さんは、さらに怖いことを言って、私を脅します。運転手さんまでも、バスガイドさんに感化されてしまったのでしょうか?
晴天の中、バスは関越道をひた走り、SLの出発地である熊谷駅に向かいました。秩父路を走るSL列車「パレオエキスプレス」は、私鉄の秩父鉄道が運行し、熊谷駅から三峰口まで約五十七キロを二時間半かけて走ります。昨年は途中の寄居駅から乗車したのですが、なんと通勤ラッシュ状態でしたので、その反省をふまえ、始発駅の熊谷駅からご乗車していただきました。
■身を削る思い?
長瀞まで一時間二十分のSLの旅を楽しんだ後は、お待ちかねの昼食です。秩父旅行に相応しいものということで、日本武尊ゆかりの宝登山(ほどさん)の麓にある「有隣倶楽部」の竹膳料理をご用意。日本庭園を眺めながら、鮎の塩焼きや揚げたての山菜の天ぷらなど、目にも舌にも楽しい料理でした。昼食後は宝登山神社参拝やロープウェーで山頂を散策したりと、のんびり過ごしてから、午後の観光のハイライト、長瀞のライン下りです。
長瀞にしろ、最上川にしろ、小舟に乗るとき、必ず私の体重(体格)に脚光が当たるのはなぜでしょう。船頭さんが「やあ、また今年もあんたが来たのかい」不吉な予感がします。定員二十五名のところ、私が乗るということで二十三名にされ(私は三人分?)たうえに「あんたは一番前に座ってよ」と船頭さん。要するに水しぶきの「防波堤」の役割と、舟のバランスをとる舵の役割を担えというわけです。「川はそんなに深くないから大丈夫。万一沈没したらこの添乗員さんの責任にしていいから」もちろん、お客様は大爆笑。
たまには「健康のためにも、少しはダイエットしたら」なんて優しい言葉が欲しいものですが、「痩せたら旅行記がおもしろくなくなるから、ダイエットしないでね」と言われる始末。お客様のために、自分の身を削るような思いで、サービスに努める私なんです(そのわりには身は細くなりませんが…)。
■縁起のよい顔?
ライン下りを終え、お土産屋さんの案内で長瀞・岩畳の歴史を教えていただいたあと、お店の方へ。「当店の自慢はまんじゅうです」昔、秩父地方は稲作が普及しにくい土地柄だったそうです。当時、主食はそば、うどん、まんじゅうだったそうで、お土産屋さんの名前もそのまま「万寿庵」縁起のよい名前です。「あんたの顔も饅頭みたいだね」縁起のよい顔なのでしょうか?
十一月も中旬になり、山の日暮れは早いので、十六時には帰路に就きました。
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