■ひろたりあん通信旅行版
11月26日〜11月28日  「京都の紅葉保津川下り、嵐山大原と湖東三山」
■掛け合い漫才で好天気
 行楽シーズン真っ盛りの中、忙しさの余り少々パニックを起こしかけている私の頭ですが、それに伝染されたのかリピータのお客様まで「森本さん今日はどこ行くの?」と言い出す始末。更に「京都のおわら風の盆はとてもよかったわ」と勘違い。「それは越中(富山県)おわら風の盆じゃないですか」と私。「あらそうだったかしら。でも毎回森本さんにお付き合いして参加するのも大変なのよ。旅行の写真を整理するんだけど、どこへ行った写真かわからないのよ、どうしてくれるの」「…」

 今回はバス一台ということで各配車場所へお迎えしたあと、東名高速を西へひた走り、一路関西へ向かいました。この日は雲一つない快晴でして、頭に雪を覆った富士山が裾までクッキリと見えバス車内は大歓声。実は前日の天気予報では雨が降るとのことでした。私の後ろに座っていたお客様が「実は私は雨女なのよ。私が旅行に行くと必ずといっていいほど雨が降るのよ」「雨男(私)と雨女が参加すると晴れるんですよ。算数の計算でもマイナスとマイナスを足すとプラスになるじゃないですか」ところが「あらバカねえ、マイナスとマイナスを足したら更にマイナスになるのよ。マイナスとマイナスを掛けたらプラスになるの。森本さん、算数は小学生並みね」と大恥。「なかなか儲からないのもそのせいですね」こうして私たち「マイナス」同士が掛け合い漫才している限り、お天気は大丈夫だということが数学的に証明されたわけです。

■余計なお世話です
 お昼過ぎに最初の見学場所の湖東三山の一つ目の「西明寺」に到着しました。早速ここで集合写真を撮りました。背景にあまりにも色鮮やかな紅葉が…、と思いきや、よく見ると「造花の紅葉」でした。写真屋さんに聞くと「今年の紅葉は遅れぎみだから、せめて記念写真くらい紅葉の名所に来た証しになるように、造花の紅葉を飾ったんだよ」

写真  西明寺のある滋賀県は、西武グループの創始者、堤康次郎をはじめとする、近江商人輩出の地です。この写真屋さんもその血を継いでいるようで、その旺盛なサービス精神は立派ですが、色が極端に鮮やか過ぎて、いかにも「造花の紅葉」だとばれてしまうところが玉にキズです。もし堤康次郎氏がご健在なら「近江商人たる者、もう少し商才を磨くべし」苦言を呈することでしょう。

 そんな写真屋さんの造花の紅葉が「余計なお世話」になるくらい、境内にはまさに紅葉真っ盛り。おまけに爽やかな秋晴れで、もうこれ以上綺麗になりようがないほどの紅葉に、目の保養をさせていただきました。

■山男ではありません
 次にご案内したのが湖東三山・金剛輪寺でした。この金剛輪寺は血染めの楓で有名な紅葉の名所ですが、三山の中で階段が一番キツイところで、出発前から「覚悟してご参加ください」とお客様を脅して…もとい、お客様にご注意を促させていただいておりましたので、バスが金剛輪寺に到着するやいなや、皆様お顔が引きつったご様子。実は「キツイ階段を登るのはイヤだなあ」という不穏な空気が車中に充満するであろうことは容易に予想できたので、鬼になれきれないお人好しの私は、事前に境内の下までのバスの通行許可をいただいていたのです。「バスは境内の下まで登っていきます」と言った途端、さっきの憂鬱な空気とはうって変わって皆さん大歓声。「さっきの溜息交じりの表情はどこへいったのだろう、皆さん現金だなあと」苦笑いしてしまいましたが、最近重い体を持て余しがちな私が、楽をしたかったからというのは内緒です。

 結局、自分の足では参道の五分の一しか登らずに境内に入ったのですが、ここの紅葉も言葉に出ないほどの感動的な美しさを醸し出していました。これがもし、麓から自分の足で登ってきていたら百倍くらい感動できたに違いありませんが、どちらの方法を選ぶかといえば答えは明白、私は山男ではないのです。

■ご利益をいただけたでしょうか
写真  帰りは参道を麓まで下りました。「今でも比叡山の行者さんはここまで歩いて来てるのです。がんばって汗を流してご利益をいただきましょう」という立て札が、途中三か所あったにもかかわらず、わがひろたりあん旅倶楽部の面々は見て見ぬ振り。そんな横着者の私たちをご覧になって、弘法大師さんはどう思われたでしょうか?

■松茸VS芸妓さん
 湖東三山最後の百済寺も見事な紅葉でしたが、あたりはすっかり日暮れてしまったので、名神高速を西へと向かい、夕食会場の醍醐寺へ。夕食は「松茸のすき鍋」以下秋の味覚「松茸」をふんだんに使った会席料理です。せっかく京都ですから、芸妓さんの踊りも楽しんでいただこうと思ったのですが、わがひろたりあん旅倶楽部のお客様(別名、食いしん坊集団)は芸妓さんには目もくれず、松茸会席のとりことなり、お鍋のコンロの燃料がなくなってイライラを募らす方まで出現する始末。「花より団子」というか「芸妓より松茸」というところでしょうか。

写真  二日目は保津川下りと嵐山、嵯峨野散策と清水寺へご案内しました。保津川下りは京都府亀岡市から嵐山・渡月橋までの十六キロを約二時間かけて下ります。狭い渓谷の紅葉と急流のスリルとを充分に楽しんでいただきました。私の隣に座っていたご婦人が「そういえば四年前に見た鳥取から京都まで百キロの紅葉は綺麗だったわ」私が「さぞかしよかったのですね」と何気なく答えたのを皮切りに、ご婦人のその思い出話が止まらなくなりました。「保津川下りの紅葉も素敵ですから、ゆっくり味わってください」そんな私の言葉にも聞く耳を持たず、急流になるとキャーキャー騒ぎながらも、すぐまた鳥取からの紅葉の思い出について熱弁を奮われるのでした。やれやれ。

写真■店長、お世辞がうまいんだから
 料亭「渡月亭」で、京都の粋で繊細な盛り付けが評判の竹弁当の昼食の後は、嵐山・嵯峨野を自由散策を楽しみ、その後、清水寺にご案内しました。この日は比較的曇りがちだったのですが、突然雲が切れて、夕日が清水の舞台を斜めに差し込んできました。この光具合と紅葉との陰翳が息を呑むほど幻想的で、思わずその感動を写真に収めました。後日現像を頼んだ写真屋の店長さんから「この清水寺の写真は素晴らしい、ぜひ当店で使わせていただけませんか」と言われ、「お世辞のうまい店長だな」と思いつつも、まぐれとはいえ私の写真がプロに認められたわけで、浮かれ気分でその写真を提供しました(青葉台一丁目にある『写真屋さん45』に拡大で飾られてます)。

■何点くれますか?
 この日の夜は皆さんに思い思いの京都を楽しんでいただこうと、自由行動としたのですが、リピーターのお客様方から「せっかくだから、京都情緒を味わえる場所に案内してよ」と私の感性が試されるような要望を承りました。考えたあげく、夕食は八坂神社の隣の「平野屋本店」の「いもぼう御膳」を選択。川端康成や吉川英司など名だたる作家の作品にも登場する「平野屋のいもぼう」は京都を代表する料理です。いもぼうの煮汁は三百五十年前のものを注ぎ足しながら使っているそうで、江戸時代初期より守り続けている味をご賞味いただきました。

 食後は夜の祇園散策と伊藤博文ゆかりの迎賓館でのティータイムを楽しんでいただきましたが、さて私の感性には何点いただけるでしょうか?

■ガン予防に効果あり?
 三日目は京都市内からバスで一時間行った「大原の里」にご案内しました。まず三千院の見学のあと「魚山園」での大原女弁当の昼食。これもまた繊細で可愛らしい盛り付け。京都が特に女性たちの間で人気が高いのもうなずけます。大原といえば「京漬物」が有名で、自家農園で栽培した野菜を漬物にする家庭が多く、食卓には必ずと言っていいほど「京漬物」が出るそうです。最近この京漬物、特に「すぐき」には乳酸菌の中でもガン予防に効果的な「ラブレ菌」が大量に含まれ注目を浴びていて、日本の中でガンでの死亡率が一番低いのは京都府というデーターもあるそうです。今回の旅行でお客様から心付けとして、大量の漬物をいただきました。ただ私は先月のソウル旅行でダイエット食であるキムチ食べ放題の洗礼を受け、当分漬物は勘弁してほしいところですが、お人好しな私のスーツケースの半分は「漬物」で占領されてしまいました。ガン予防になるのなら、いっそのこと、いつも私にイヤミを言いたがる「廣田新聞店のガン」こと私の上司へのお土産にしましょうか。

                                       (森 本)
▼2000・10・24〜10・26へ

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