■口が避けても言えませんが…
今年の春は桜観賞として「河津桜」「吉野山千本桜」「高遠の小彼岸桜」とまさに桜、桜、桜と「桜紀行」のめじろ押し、「桜以外のコースはないの?」とお客様に聞かれ、根が正直な私はつい「はい、ありません」と堂々と言い切ってしまい、発想の貧困さを皆様にアピールする始末、われながら少々情けない話です。桜も終わってしまったし、ゴールデンウイークも近いことだからと、汚名返上のためにいろいろ調べた結果、この時期にピッタリのコースが見つかりました。「つつじの群落・館林と足利フラワーパークの藤の花」です。それをはたで見ていたあのイヤミなわが上司「なんだ、桜がつつじに変わっただけじゃないか。やっぱりお前の発想は貧しいなあ」とイヤミな横槍を入れてくれました。
ところが実際に募集すると、約二百十名ものお客様にご参加いただきました。「お客様の発想も私並みに貧弱なんでしょうかね?」一瞬言葉を詰まらせたわが上司ですが、さすがひるむことなく「人間万事塞翁が馬、天に感謝を忘れるなよ」「ハァ」「それになんだ大切なお客様に対するその失礼な発言は、慎みなさいっ」「ハァ」その頭の回転の速さをもっと仕事に生かせばいいのに…とはもちろん口が避けても言えませんが…。「当日雨が降らなきゃいいがな」「ハァ…」
いずれにしろ、安易に企画したコースが、お客様のニーズにぴったり合致するケースが案外多いということを知っている私の経験の勝ちです。
■私が噂の森本です
当日の四月三十日はゴールデンウイーク真っ只中、ただ上司の期待?どおりあいにくの雨模様でした。
ひろたりあん旅倶楽部がよく使用するのは神奈川県で最大手のバス会社で、そこにひろたりあん旅倶楽部の新名物、おばたりあんバスガイドの「Mさん」が所属しています(ご存知でない方は前回のひろたりあんバス旅行同行記をご覧ください、ホームページでもご覧になれます…アドレスは欄外参照)。「あーあ、またMさんと一緒か」と雨空の色よりもっと暗いグレーの心を引きずってバスの配車場所に着くと、そこには別のガイドさんがいたのです。「よかった、Mさんじゃなくって」と思わず言うと、彼女は(二十代後半の方です)笑いながら「あなたが噂の森本さんですね。Mさんから聞いてます」「え、Mさんがどんな噂をしていたんですか?」すると彼女は、「ウフッ」笑って答えません。きっと私の悪口を酒の肴に毎晩呑んだくれているのでしょうか。
■関東一の「大藤」
ゴールデンウイークのせいか都内の首都高速は渋滞もなく、栃木県の「あしかがフラワーパーク」へとバスは走ります。
「あしかがフラワーパーク」は約八万二千uの敷地内に四季折々の花が咲き乱れていて、栃木県内はもとより関東一円から観光客が絶えないそうです。ここは日本ではじめて、大藤の移植(専門家によるとこれは大変難しいそうです)に成功し、樹齢百年以上の「大藤」が四本、六十年以上の藤が百六十本と、まさに関東一の名に恥じません。本来ならここでお弁当をお渡しして、藤の下での風情のある昼食を楽しんでいただく予定でしたが、残念ながら雨で芝生が濡れているので、次の見学地の群馬県館林のつつじが岡公園へ移動しながらの車中食となりました。
■天に感謝します
つつじの群落で名高い館林市は、徳川五代将軍綱吉の居城があった城下町です。また童話「文福茶釜」で有名な茂林寺や、最近ではアジア初の女性宇宙飛行士、向井千秋さんの出身地(「向井千秋子ども科学館」があります)としても知られています。
つつじが岡公園に入るやいなや目に飛び込んできたのは、真っ赤なつつじの群落。
樹齢八百年を越えるヤマツツジの巨樹をはじめ、五十余品種、一万株のつつじの彩りが、私たちの目を楽しませてくれます。雨も館林に着いた頃には上がって、暑くもなく寒くもなく快適なつつじ観賞を満喫しました。
つつじの群落と大藤を堪能し、帰りの高速道路も渋滞なく(こんなことは稀です)帰路に就き、到着予定時間も二時間以上早く終了。イヤミな上司の助言に従って、天に感謝する私でした。
(森 本)
|