■天狗になってはいけません
ひろたりあん旅倶楽部の「夏祭り」シリーズ第三弾「越中おわら風の盆」を企画しました。
予想をはるかに上回る反響で、企画した本人としては光栄の至りです。
「森本、鼻が少し高くなったみたいだな、でも天狗になっていると地獄を見るぞ」と
上司にイヤミを言われてしまいましたが、そんなのは馬耳東風です。
なのに、決していい気になっていたわけではないのに、
まさか本当に地獄を見ようとは思ってもみませんでした。
いかに私の…、いやお客様の普段の行いがよいか、出発当日は雲ひとつない見事な快晴。
バスは快調に中央高速を走り抜け、一路富山県へと向かいました。今回はバス2台で行きましたので、
交互にバスに乗り換えて皆様をご案内しました。
以前北海道旅行でご一緒だったお客様から「いやー久しぶりだねー。それにしても相変わらず太っているねー」と
ありがたい(?)再会の第一声を頂戴しました。
(これは、元気そうだね、体調がよさそうだね、という意味だろう)と都合のいいように解釈しましたが、
今度はそのお隣が「森本さんって忙しく働いているわりに、痩せないのが不思議よね」とまあ
相変わらず皆さん言いたい放題で、(やっぱり僕は太っているのか)と、再確認させられたわけです。
私達のやり取りにバス車中は笑いの渦で最高に盛り上がりました、この後地獄を見るとも知らずに…。
■身も細るような思いです
そうこうしているうちにバスは富山駅に到着。今回は会場近くにバスの駐車場が確保できなかったため、
ここからJRでの移動となります。ところが富山駅は全国から「おわら風の盆」目当ての観光客の波でパンク寸前。
思いもかけない超混雑に圧倒され、誘導時にはぐれる方、いらいらで喧嘩を始めるご夫婦、怒声や罵声が飛び交い、
地獄絵図とは言わないまでも、パニック時の阿鼻叫喚を目の当たりにしたわけです。
約四〇分待ちでようやく乗れたJR高山本線の気動車内は、まったく身動きできない状態で、二名分の空間を占領する私
(の体)に、皆さんの冷たい視線が集中して、身も細るような思いをしました(残念ながら細りませんでしたが)。
■私は踊れません
なんとか越中八尾駅にたどり着いたものの、ここもまた人人人。
お祭りを観に来たのか観光客を観にきたのかわからないくらいでした。私は駅前で待機をしていましたが、
皆さん意外と早いお帰りの様子。伺ってみると、人が多すぎて前に進まず、メイン会場までとてもたどりつけないとのこと。
「あら、ここが一番踊りを観られるわ」実は駅前会場は穴場的な場所で、
知らないうちに私が一番おいしいところをいただいたようで、我がことながらさすが食いしん坊です。
おわら風の盆の踊り手さんは男女とも未婚(バツ1はダメ)の方だけに限られているそうです。
ゆかた姿に編笠姿、古来より「夜目、遠目、傘(笠)の内」を、女性が一番美しく見えるシチュエーションだとしますが、
笠で顔を隠して踊る未婚女性の踊り手さんはもちろん皆美人でした。
■編笠をかぶったなら美人かも
「おわらを堪能するには前夜祭がいいですよ。こんなに混雑しませんから」と駅職員の方、
「こんなに混んでいたら踊り手さんも踊りにくいですよ」こんな状態でしたので、
私達一行は早めに会場をあとにして、富山駅へ向かいましたが、またまたこの人ごみの中はぐれてしまう方が出る始末。
それでも十時半にはバスを出発させることができて、宿泊先の山中温泉には夜中の十二時半に無事到着できました。
明日の打ち合わせも済み、大浴場に向かう途中、女性の方々に「森本さんおやすみなさい」続けざまに挨拶をされて
「あれ?どなただっけ」と記憶力が衰えたかなと思ったのですが、よく見たら、お化粧を落とされたバスガイドさんや、
お客様でした。おわら風の盆で編笠で顔を隠して踊る女性のように、踊っていただこうかなと思うのでした。
■江戸っ子は疲れ知らず?
2日目は黒部峡谷の観光を中心の行程でした。ところでお祭りは夜に行われることが多く、
帰りが遅くなるのはいたしかたないことで、前日の地獄のような人手の「おわら風の盆」見物の疲れが出ていないかなと
気になるところですが、予想外にも皆さんお元気で朝食を召し上がっていました。
「その日の疲れはその日にとるのは当たり前」「宵越しの疲れは持たない」さすが旅慣れていらっしゃる方ばかりで、
江戸っ子のようなことをおっしゃいます。どうやら余計な心配だったようですね。
むしろ私の方が疲れを残しているようで恥ずかしい限りです。
山中温泉は当日も雲一つない快晴で、私のことを「雨男」だの「存在自体が低気圧」だのと中傷したのは一体だれなのか
(もちろん私の会社の内部にいます)、人間は成長する動物だということをわかってないのですね
(もっとも、先日、旅行の下見に八ケ岳に向かって、中部地方に集中豪雨を降らしたのは私ですが…)。
■黒部渓谷で一喝
宇奈月温泉に到着し、バスからトロッコ列車に乗り換えて、黒部峡谷を往復二時間三十分の車窓観光を堪能して
いただきました。黒部の景観に圧倒されつつも、緑の薫り高い渓谷美を楽しむという趣向です。
私の後ろの方からあるお客様が「せっかく旅行に来ているんだから疲れた顔するんじゃねえよ」と突然叫んだので、
またトラブルかと思いきや、反対列車の行き違いの乗客の方が少し疲れてうつぶせになっていたので、
気合をかけてやったとのことです。「せっかくの旅行で暗い顔しているんじゃたまらないよ。人生は楽しくいかないと」
とのコメント。かの疲れた乗客の方も、黒部渓谷にあこがれてやって来たはずでしょうに、
その点、ひろたりあん旅倶楽部のメンバーは元気パワー全開で、そのお客様の「一喝」は
黒部渓谷の山々に響きわたりました。
昨晩は帰りが遅かったので、当日は早めに帰途に着き、夕方には旅館にもどってきました。
でも、皆さんのパワーはまだまだ衰えを知らないご様子で、夕食を楽しんだあと、カラオケバーで熱唱された方も
いらっしゃったようです。
■修行して来い!
3日目は永平寺参拝(「観光」とか「見学」という言葉を使うと、修行僧からお叱りを受けるそうです)と
九頭竜湖観光でした。永平寺は修行僧に課す戒律の厳しいことで有名ですが、一番厳しいのは断食で、
飲まず・食わず・出さず(いわゆる「用足し」もだめ)で過去最高で五七日もの断食をしたという記録も
残っているそうで、私のような器の小さい(太っているだけ)俗人にはとてもできません。
あるお客様が「森本さんもここで修行したらかなりスリムになるわよ」と厳しいお言葉。
「確かにダイエットには効果があるだろうけど、2ヶ月も休みが取れるかなあ…」
休みさえ取れれば修行も辞さないようなことをのたまう私ですが、名物の永平寺そばが目当てで永平寺に来た
ような食いしん坊の私ですから(おそばとすりこぎ羊かんはおいしかったですよ)
はじめから「修行」のことなど頭の片隅にすらありません。
「休みならいくらでもくれてやるから精神を鍛えなおして来い!」また上司に怒鳴られてしまいそうですが…。
■どこかで見たような橋が…
永平寺の帰路の途中、九頭竜湖に立ち寄りました。この九頭竜湖は九頭竜ダムによってできた湖で、
ほぼ十和田湖に匹敵する大きさです。春は湖畔の桜約1万本が水面を桜色に染め、
秋は見渡す限りの紅葉が色鮮やかに照り映えるとのこと。九頭竜湖にかかる美しい橋を発見された方が
いらっしゃいましたが、実はこの橋は難工事だった瀬戸大橋の、テストのために架けられたミニチュア版だそうです。
この旅行の最後の訪問地で、皆さん思い出を反芻しながらしばしの散策を楽しんだご様子です。
あとはひたすら横浜青葉ICを目指すだけ、さすがに少々お疲れ気味の方もいらっしゃったようで、
気がつくといつしか車内は寝息に包まれていました。 (森 本)
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